150年前の唄と踊り復活へ

「秋名の伝統唄集」と題した歌詞カードを手に口ずさみながら聴き入る参加者たち

龍郷町秋名・幾里 八月踊り同好会
初回集会で団結誓う

 龍郷町秋名・幾里集落の住民有志は23日、このほど発見された150年以上前と思われる伝統唄の復活と伝承に乗り出した。秋名コミュニティーセンターで行われた初回の集会には40人以上が参加、「先人が残した古来の踊りとシマ唄をこの時代で消してはならない」と団結を誓った。 

 郷土の文化復活に向けて発起人となったのは同町文化財保護審議委員長・窪田圭喜さん(82)。契機となったのは、昨夏に愛媛大学から秋名小学校に送られてきたUSBメモリ。

 数年前、同小学校に保存されていた16㍉フィルム(録画)とオープンリールテープ(録音)の2巻を、奄美市笠利町佐仁に在住し、奄美の文化を研究していた同大民俗学教授が研究用に借り受けた。退任後、USBに変換されたものと原版が返還されたものだという(同小教頭・米倉克彦さん)。その後、資料は集落に寄贈された。

 USBには、河川工事のつらさを紛らわすため男女掛け合いで唄い合う「こーばらイトゥ」など5曲が収録されている。「1968年8月4日 大阪毎日放送」と記され、放送の中で「100年以上前の唄」と紹介されていることから、150年以上前の伝統唄と推測される。

 窪田さんは、「コロナ禍にあり、ショチョガマなどの行事中止が相次ぎ、八月踊りも簡単なものしかやらなくなってきた。このままでは我々の世代で文化が途絶えてしまう」と同町教育委員会に相談し、秋名・幾里八月踊り同好会として復活を図ろうと考えた」という。音が欠落している部分があるため、古老の知恵を借りるなどして修正していくという。

 同好会は、毎月1回の総合練習と青年部などの各部会や個別練習を重ね、9月のアラセツ(新節)までに完成させると意気込む。

 参加した公務員の男性(33)は、「方言はまるで分からないが、大切な地域行事と聞く。覚えるよう頑張る」と話した。

 重山カズヨさん(71)は、「覚えるのに時間はかからないと思う。4年前にチヂン(太鼓)を初めてたたかせてもらったが、歌詞カードに打つタイミングを書いて覚えた」と自信をのぞかせた。

 65歳の女性2人も「歌詞はちょっと不安だが踊りは問題ない。大丈夫」と力強く話した。青年部は、夜間練習と称し場所を移して稽古に向かった。