豪快にシャンデリア状に開花した「イルカンダ」の花=27日、徳之島町
まるで〝森のシャンデリア〟 徳之島
〇…徳之島町井之川地区の森林域では、幻の花とも称される「イルカンダ(ウジルカンダ)」の花がひっそりと開花していた。ブドウの巨峰の房のような形をした赤紫色の花を緑陰に下垂させ、まるで〝森のシャンデリア〟のような趣も。
〇…山地に自生するまめ科の大型のつる性木本。日本では琉球列島(奄美大島、加計呂麻島、徳之島、沖永良部島、伊平屋島、沖縄島)や馬毛島、大分県蒲江町などに分布。徳之島での呼称は沖縄同様「イルカンダ」。「イル」は色、「カンダ」はカズラ(つる)の意。自生地は極めて限定的なことから「幻の花」とも称される。
〇…場所は、徳之島町健康の森総合運動公園(同町徳和瀬)付近から北部方向に中山間部の照葉樹林域をぬって走る農道の井之川地区。同島最高峰「井之川岳」(645㍍)のすそ野。スダジイなど高木に覆われた〝緑のトンネル〟の頭上約3~4㍍に見ることができる。
〇…数年前、松くい虫被害で枯死したリュウキュウマツの倒木被害防止など安全確認中だった自然保護団体が偶然確認。延長約70㍍にわたって点在、同島最大級の自生地の可能性も。昼なお薄暗い緑陰下だが、徒歩でじっくり観察すると、他の照葉樹高木に巻き付くように伸びた赤紫色の〝森のシャンデリア〟に出合うことができる。見ごろは「5月中旬ごろまで」とも。