国際クルーズ船が初寄港

喜界町初の外国船籍寄港となった仏クルーズ船「ル・ソレアル」

乗客らはツアーに出かけ喜界島ならではの観光を楽しんだ(阿伝集落サンゴの石垣)

「ウェルカム喜界島」
ツアーや伝統芸能でおもてなし 観光誘客の新拠点へ期待

 フランス国船籍のクルーズ船「ル・ソレアル」(ポナン社、1万700㌧、全長142㍍)が29日、喜界町の湾港に寄港した。同港に国際クルーズ船が訪れるのは初めて。台湾を中心に仏英米国から来た乗客約190人を観光ツアーや芸能ステージでもてなし、新たな観光誘客の拠点へと期待を高めた。

 24日に台湾を出港した同船は石垣島、竹富島、西表島、座間味島を経由し寄港。29日午前9時半ごろ、白く巨大な同船がゆっくりと接岸すると、一目見ようと集まった見物客から歓声が上がった。利山文乃さん(67)は「これだけの外国人を喜界島で見るのは初めて。みんなが声を出して手を振るなど親近感もあり、交流ができればもっと楽しめそう」と笑顔で話した。

 降船口では、「ウェルカムトゥ喜界島」と英語で書かれた岸壁と喜界町マスコットキャラクターの「よろこびと」がお出迎え。笑顔で降り立った乗客らは春休み限りのスクールバスに乗り込み、観光ツアーに繰り出した。

 ツアーでは百之台国立公園やサトウキビの一本道、阿伝集落のサンゴの石垣などを巡り、喜界島ならではの景色を堪能した。港では、白ゴマや長命草などの特産品を販売するテントが並び、黒糖焼酎や大島紬を手にする乗客の姿も見られた。

 午後4時にはセレモニーが行われ、地元芸能団体やアーティストが唄や踊りを披露。住民や町の関係者らが見守るなか、船は終点の大阪港へと旅立った。

 喜界島観光物産協会の上園田慶太会長は、「インバウンド(訪日客)の受け入れ態勢はまだまだだが、今回を一つの前例・ケースとし課題解決にあたりたい」と強調。「島には制限も多く大勢を一度に受け入れるということではなく、リピーターを増やすことが肝心。喜界島観光の在り方として〝できるだけ長く来てもらえる〟よう、地に足をつけて取り組みたい」と話した。

 同町企画観光課によると、クルーズ船の同港寄港は2019年以来で外国船籍の寄港は初めて。23年度は計3回の寄港を計画しており、うち2回が外国船籍を予定している。