別れ惜しみ見送る

のぼり旗を掲げ、手を振りながら見送る人々

名瀬新港 紙テープなし継続へ

 「先生ありがっさまー」、船上の恩師や友へ多くの掛け声が飛び交った――。異動シーズン真っ最中の28日夜、奄美市の名瀬新港では、転勤や転校・進学などで島を離れる人たちの見送りでにぎわった。新型コロナウイルス感染対策の緩和が進む中、紙テープの舞う風景は今年も見られなかった。

 事故防止対策として岸壁は封鎖。鹿児島行きの定期船「フェリー波之上」が到着する午後8時ごろ、ターミナルビル内は別れを惜しむ多くの人であふれた。2階待合室やスカイデッキには、島内の小中学校や高校・養護学校など約10校が集まった。

 住用町の市小学校は、小牟田央=ひさし=教諭の壮行会をスカイデッキで実施。5年間勤務した同校関係者らから「フレー、フレー、ひさし!」と激励の掛け声が。教え子たちは「新しい学校でも頑張ってほしい」と恩師を見送った。

 異動シーズンになると、毎年港に見学にくるという男性(50代・長浜町)は、「風物詩だった紙テープが、もう見られなくなるのは残念」と、去り行く船を寂しげに見送った。

 同港では、コロナ禍の2020年から岸壁での見送りを規制。県は「安全確保と事故防止対策」の観点から、引き続き規制を継続するとしている。