大島郡区 三つどもえに

大島郡区は9日間の選挙戦に突入した(出陣式)

県議選 奄美市区無投票、県全体で77人立候補
初の女性県議誕生

 任期満了に伴う県議会議員選挙は31日告示された。立候補の届け出は各選挙区の選挙長事務所で受け付けられ、午後5時で締め切った結果、21選挙区(定数51)に計77人が立候補、戦後最少だった前回の68人を9人上回った。奄美群島の2選挙区には、奄美市区(同2)が2人、大島郡区(同同)が3人立候補。市区は前回に続き無投票、初の女性県議が誕生した。大島郡区は三つどもえの選挙戦に突入した。投開票は4月9日。

 県全体の立候補者の内訳は、現職42人、元職2人、新人33人。党派別は自民党38人、立憲民主党2人、日本維新の会1人、公明党3人、共産党1人、国民民主党1人、参政党1人、無所属30人。男女別は男性65人、女性12人で、女性は前回より5人増えている。

 定数以上の立候補者がなく無投票となった選挙区は、阿久根市・出水郡区(立候補者数1人)、日置市区(同2人)、いちき串木野市区(同1人)、南さつま市区(同1人)、奄美市区(同2人)、南九州市区(同1人)、姶良市区(同2人)の7選挙区。前回(9選挙区)より減少したものの、選挙区数のうち3割以上を無投票が占めた。

 前回投票率は44・38%で、前々回(48・78%)以降、投票率が50%台を割り込んでおり、投票率低下に歯止めが掛かるか注目されそう。
 
 ■奄美市区

 奄美市・龍郷町が選挙区。立候補したのは自民党新人の松山さおり氏(56)、自民党元職の永井章義氏(66)=届け出順=。自民現職の2人が立候補した前回に続き無投票となり、2期7年務めた奄美市議から「女性の県政参画」を掲げた松山氏が初当選、永井氏が6回目の当選を果たし返り咲いた。

 公約では、松山氏が「希望に満ちた奄美をつくろう」として▽観光関連産業と農林水産業を柱とした域内経済循環の確立▽こども・子育て支援を手厚くした島の未来づくり▽地域の見守り・声かけと保健医療・福祉で安心の暮らし―など、永井氏が「結いの島奄美・自立への挑戦」として▽奄振事業における交付金制度の活用範囲の拡大と充実▽地場産品のブランド化及び新商品開発等による産業振興▽世界自然遺産の「保全・活用」による奄美らしい観光産業の振興―などを掲げた。

 ■大島郡区

 選挙区は龍郷町を除く大島郡の10町村で、喜界島から南の与論島まで島伝いの有人8島に及ぶ。立候補したのは、自民党現職で2期目を目指す寿肇氏(49)、自民党現職で5期目を目指す禧久伸一郎氏(66)、無所属新人で初当選を目指す盛本学氏(56)=届け出順=。現職2氏に新人が挑む構図で、現職が引き続き議席を守るか、新人が食い込み議席を確保するかが焦点となっている。

 3陣営は奄美市名瀬にある県大島支庁で立候補を届け出後、選挙区に移動。いずれの陣営もいわゆる「選挙の七つ道具」の到着を待って午後から徳之島の事務所前で出陣式をそれぞれ行い、第一声をあげた。

 公約では、寿氏が「県政は、農政にあり」、禧久氏が「奄美―世界へ躍進」、盛本氏が「うらぎらない政治」を掲げ、一次産業や観光産業振興、郡民所得向上、教育や子育て支援、福祉充実などに向けた政策を示している。

 現職は任期中の活動や実績の浸透、新人は知名度向上が鍵を握る。各候補者は後援会、支援団体を後ろ盾にあいさつ回りなどを重ねてきた中、9日間の選挙戦ではいずれも地盤とする徳之島での票の上積み・切り崩し、他島での集票が当落を左右しそう。

 繰り上げ投票は、瀬戸内町の請島、与路島で一日繰り上げ(8日投票)となる。