「上東だより」100号を手に安藤区長
喜界町上嘉鉄東の集落広報誌「上東だより」がこのほど、通算100号を達成した。安藤和久区長(70)が月2回、手作りで地域の話題や行事予定などを温かく伝えてきた。ただ、3月末に区長の任期満了を迎えることから、広報誌も一緒に幕を下ろす。安藤区長は「待っているという声が励みになった。ささやかながら集落の高齢者の役に立ててよかった」と振り返った。
広報誌は、区長に就任した2019年4月に第1号を発行。西風の強い常襲地で、高齢者からは集落放送が聞こえないといった声がたびたび挙がるなか、「連絡漏れがないように」と紙での配布を始めた。
紙面は、A4サイズのわら半紙にモノクロで印刷。地区の祭りや行事案内、コラムなどで構成し、住民の質問や疑問にも答えていった。記事づくりでは、教員時代に培った経験を生かし、情報収集から執筆、編集や制作までを一人で担当。号外も発行しながら自費でやりくりし、集落54世帯に届け続けてきた。
安藤区長は「一人でも多くの人が、集落を知りたい、行事に参加したいと思ってもらえるよう、心を動かす気持ちで作ってきた」と発行のたびに心を込めた。献血や募金の啓発の際には、自らが参加し取材した体験談も掲載。新型コロナウイルスの感染拡大時には、感染状況や対策もこまめに伝えてきた。
最後の100号では、改選が行われる役員会への出席を呼び掛けた。文面では「皆さんのおかげ」と綴り、4年間の愛顧に感謝した。
上島昭夫さん(54)は「母がよくチェックしていた。いつでも行事が確認できるなど本当に助かった」。原田清美さん(77)は「届くことが楽しみになっていた。なくなると思うと残念だけど…」と、集落からは惜しむ声も相次いだ。
「元々(集落対抗行事など)燃える人も多く、勤勉でまとまりの強い集落。何の非難もなくやってこられたのは、心優しいみんなの協力があってこそ」と区切りに安堵=あんど=する安藤区長。今後は「集落の高齢化も進んでおり、次の人材も育なければならない。不安やハンディと向き合い、力になっていきたい」と、集落に密着する思いは変わっていない。