宇検村生勝 サシバの渡り観察会

初めて春の開催となったサシバ観察会(2日、宇検村生勝)

サシバと同じ猛禽類のミサゴ(中央)なども観察できた(2日、宇検村生勝)

4月半ば頃まで宇検村では、越冬を終えたサシバたちの姿が見られる(3月31日、宇検村田検)=与名正三さん撮影=

 

「豊かな自然の象徴」

 「サシバ愛護会関西~奄美ネットワーク」(与名正三代表)が主催する「サシバの渡り 春の観察会」が2日、宇検村の生勝公園で行われた。天候に恵まれ、越冬を終えたサシバのほか、焼内湾上空でミサゴ、アカハラダカなど確認。奄美の自然の豊かを象徴する様々な野鳥たちが、参加者たちを魅了した。

 サシバはタカの仲間。九州から本州にかけた林で繁殖。南西諸島で翼を休めた後、東南アジア方面に南下し一部は冬鳥として越冬。春には夏鳥として本土へと渡来する。

 与名さん(71)によると猛禽類は本来、単独行動だが、サシバは渡りの際、同じ気流に複数乗ることで、群れが形成されて見えるという。国内最大の越冬地である奄美大島では4月中旬頃まで、西から東、宇検村の芦検・田検・生勝、奄美市の住用町へと体力に合わせて中継していく。

 この日の観察会は、秋に比べ、群れの確認が難しい春ということもあり、観察できたサシバは数羽のみだった。しかし、参加者たちは同じく猛禽類のミサゴ、アカハラダカなどを確認。森林、沿岸上空を舞う様々な野鳥を通し、恵まれた奄美の自然を、堪能している様子だった。

 2021年、沖縄県宮古島で行われた国際サシバサミットに参加した、奄美市立崎原小中学校の鑪=たたら=謙治校長(51)は「児童たちは学校に飛来するサシバを通して、自然を学んでいる」と述べ、「個体判別できる子どもたちに、今度は観察の経験を教えられたら」と話した。

 与名さんは、「爬虫類や昆虫など、約80種類の生物を餌とするサシバは、奄美の生物多様性、豊かな自然を象徴する鳥だが、その生態は3割ほどしか解明できていない。奄美の子どもたちが授業を通して参加するなど、群島内の調査者がもっと増えれば」と語った。