県議選終盤戦へ3候補奔走

候補者のポスターが並ぶ掲示板

大島郡区 機運上昇、投票率など課題

3月31日告示の県議会議員選挙は、4月9日の投開票へ選挙戦を折り返した。選挙戦に突入した大島郡区(定数2)の3人の候補者は5日、群島各地で遊説し、街頭では演説に立つなど支持獲得に向け精力的に動き回った。ただ各陣営とも、フェリーの欠航が相次ぐなど選挙運動への影響から最後まで予断を許さない状況で、終盤戦に向けた緊迫感は日増しに高まっている。

大島郡区の立候補者は、自民党現職で再選を目指す寿肇氏(49)、同じく自民現職で5選を目指す禧久伸一郎氏(66)、無所属新人で初当選を目指す盛本学氏(56)=届け出順=。3陣営ともに告示後は離島をくまなく回り、支持拡大や票固めに努めてきた。

ただ期間中は船の欠航も多く、離島間の移動がままならないなど悪戦苦闘。日程変更や選挙カーの手配に追われる陣営も目につき、「仕方がないが、郡区ならではと諦めて戦うしかない」と嘆く候補者もいた。

寿候補は4日、奄美大島を離れて喜界島入り。5日は選挙カーで同町を回った。遊説では「県政は農政にあり!」を柱に、教育や子育ての支援などを力強く訴えた。6~8日は地盤である徳之島で支持拡大に励む。

禧久候補は4日、空路で奄美大島に入り大和村と宇検村を回って、5日は瀬戸内町で遊説した。街頭では後援組織と連携しながら、公約である港湾・空港の整備、農林水産業への支援などの実現を力強く主張。7日早朝には瀬戸内町を離れ、最後の8日までは徳之島で力を注ぐ。

盛本候補は4日、悪天候のため予定した与論島入りを取り止め、徳之島に立ち寄った後、5日に沖永良部島に入った。農政、福祉、子育て教育の三つを柱に公約を掲げ、和泊・知名両町を奔走。6日は出航を条件に与論入りし、7・8日は徳之島で新たな票の獲得に挑む。

南北に島がまたがる大島郡区。今回の選挙ではそんな過酷な遊説を横目に、有権者からは相違点が見えないといった意見も多く聞こえた。大和村の60代男性は「移動が多いのはわかるが、演説が聞けたのは1人だけ。他の選挙のような盛り上がりも周囲からは感じられない」。瀬戸内町の40代会社員女性は「やってほしいのは価格高騰対策だが(公約の)違いがわからない。もっと明確に訴えてほしかった」といった声も挙がった。

前回選挙では投票率が大きく下がった。大島郡区の前回投票率は60・30%。2015年の67・58%を7・28ポイント下回っており、機運を高めるだけでなく投票率を維持できるかも課題だ。

終盤、3候補者は地盤である徳之島に集結する。7・8日にかけて最後のお願いに臨む。