風の中、泥だらけで田植え

横に並び一斉に苗の植え付けを行う小湊小児童ら
田植えを終えて

小湊小児童ら
わらは夏の神事に、秋の餅つきも

奄美市名瀬の小湊小学校(竹平勝志校長、児童6人)で8日、同校近くの水田で田植えが行われた。児童全員と、近隣の奄美看護福祉専門学校の学生、地域住民ら62人が参加、時折風が強くなる中、参加者は泥だらけになっていた。7月に稲刈りを行い、わらは8月の祭り神事に使い、11月には餅つきを行う予定だという。

「靴下を2枚はいてきましたか」と田植え指導にあたった川畑賢一さん(78)が第一声。はだしだと小石などで児童がけがをするからとの気遣いだという。「物価が高いから、はいた靴下はとっといて草取りの時も使うよ」と続け、「苗は3本、人差し指と親指ではさんで持つ。泥の中に第一関節まで入ったら明日には根を張り始める」と説明した。

水田は、耕作放棄地だった場所を11年前に開墾、10年前から同校児童らが田植えを行っている。広さは約150平方㍍。2月に種まき、3月には田の粗(あら)おこしを行うなど田植えの準備を進めてきた。

地域の青壮年団員が、畦と畦の間に印をつけたロープを貼り、児童ら参加者は横一線に並んで苗を植えていった。
はじめはぎこちなかった参加者も、次第にコツをつかんだようで、1時間半ほどで水田全体に緑の苗がきれいに並んだ。

同校2年・米アリゾナ生まれのエイドリアン君(8)は「水が冷たかった。寒い」と苦戦、同級生の丸山椛佳(はなか)さん(7)は「泥だらけになるのは嫌だけど、お餅が大好きなので秋が楽しみ」と話した。

名瀬小3年・高野直己君(8)は「田植えは初めて。楽しかった」、小宿小5年・川畑真愛(まな)さん(10)は「5歳からやっているけど、今日は苗を3本に分けるのが難しかった」と泥だらけの足も気にする様子をみせなかった。

小宿保育園・松本果穂ちゃん(5)は「泥がつくのが楽しい。ママに泥をいっぱいつけた」とうれしそうに話し、最年少の春日保育園・谷村心菜ちゃん(4)は、水田には入らず苗を投げ込む役回り。「いっぱい投げた。楽しかった」とはしゃぎ回っていた。

1週間後と2週間後の根かきは児童も参加して行うが、施肥は「今の子どもたちは肌が荒れやすいので」(川畑さん)大人たちで行う予定だという。

川畑さんによると、収穫した稲わらは旧暦の十五夜・夏祭りに向け縄を編み、集落を回り(結界を作り)〝邪気を祓う〟儀式用に使われる。最後は浜に下り火をつけて海に流す。過去に疫病が流行った歴史から、口伝で受け継がれてきた神事だという。
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なお、今回の田植えの様子は「小湊町内会ホームページ」に、タイムラプスやドローン映像などがアップされている。撮影したのは町内会の城(ぐすく)康弘さん(58)。他の行事などの映像も加えDVDに編集され、島外に住む町内会OBを通じ出身者に配られるという。