環境負荷低減事業 活動促進へ基本計画策定

化学農薬・肥料10~20%減
県、市町村取り組み
目標値も設定

 県は、「みどりの食料システム法(2022年7月施行)」に基づき、県内の市町村と共同して「鹿児島県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画」を策定した。低減へ数値も示しており、有機質肥料の活用促進などにより化学農薬・肥料の使用量は、目標値として10~20%減を掲げている。

 これまでの環境との調和に配慮した取り組みに加え、みどりの食料システム法に基づく農林漁業者の環境負荷低減事業活動などを促進することで、農林水産業が持続的に発展し、国内の食料供給基地として安定供給に不可欠な役割を継続できるよう県と県内43市町村の共同で計画を策定したもの。計画期間は今年度(23年度)から27年度までの5年間。

 計画によると、求められる事業活動は①土づくり、化学肥料・農薬の使用低減の取り組みを一体的に行う②温室効果ガスの排出量の削減に役立つ③その他―の三点。その他では、生分解性プラスチックを用いた資材の使用など、化石資源由来のプラスチック使用量の削減のための生産方式の導入、家畜のふん尿に含まれる窒素など環境への負荷の原因となる物質の量を減少させるアミノ酸バランス改善飼料等の技術導入などあげている。

 活用が期待される「基盤確立事業(農林漁業者が容易に環境負荷低減に取り組めるよう、先端的技術の研究開発や新品種育成などを行う事業)」内容も示している。県が推進しているのは、▽天敵農薬や捕食性土着天敵を使用した「IPM」による減農薬栽培技術の開発や耐病虫性品種の育成▽堆肥の化学肥料の代替としての活用および広域的な流通を促進するためのペレット堆肥の製造や混合堆肥複合肥料の開発・製造・実証と普及▽下水汚泥をはじめとする事業系生ごみ、焼酎かす等のバイオマス資源を、肥料やエネルギーとしてさらに利用拡大するための技術開発・実証と普及▽持続性の高い有機農業栽培技術の開発▽スマート農業技術を活用した低コスト化・省力化技術開発(新たな機械体系による施肥・施薬管理など)、ドローンやAIを活用した生育診断技術の開発―など。

 こうした活動により生産された農林水産物の流通・消費の促進も掲げている。このうち有機農産物等の消費・販路拡大では、流通・加工・販売に関わる事業者と有機農業者や農業団体などとの間の意見交換や商談の場の設定、実需者との円滑な商談の支援に努めるとともに、ロットの拡大、生産技術の習得、海外への輸出など販路開拓等の交流も目指す。消費者の理解増進は、多様な関係者に対し、日本農林規格等に関する法律(JAS法)に基づく有機JAS等の知識の習得および制度の活用を積極的に働きかけるとともに、消費者の理解と関心を増進するための普及啓発に努める。

 なお、目標指標のうち有機農業取り組み面積は、基準値の999㌶(19年)から目標値は「2000㌶」(31年)としている。