新県議インタビュー 永井 章義氏

県、地元の総意まとめ役に
「夏の概算要求が勝負所」
無投票6期目当選奄美市区

 ―無投票だった選挙戦を振り返って。

 「いろいろな人たちの思いが重なり合い、結果的に無投票となったと受け止めている。多くの支援者の力添えで、当選することができたことに感謝したい。そうした思いを胸に、新たなスタートとして精いっぱい頑張りたい」

 ―2年前に辞職した県議を再び目指した思いとは。

 「奄美市長選に出馬するため県議を(2021年7月に)辞職した。残念ながら落選し、自分の中では、(政治家として)一区切りついたという気持ちもあった。政治から離れることも考えたが、なかなかバトンをゆだねられる若い人がいなかったことも事実。(県議選が近づくにつれ)多くの方々から『ここはもう一度、永井頑張れ』という応援の声を掛けていただき、その思いに応えなくてはいけないと最終的に立候補を決意した」

 「辞職後の約2年間、今思うと貴重な時間だったと感じている。一市民という立場で、地域の現状を見て回り、いろんな人たちと語り合う中で、まだ努力が足りないという思いが強くなっていったことも、もう一度県議を志すきっかけとなった。今まで以上に新たな気持ちで、地域の課題、地域振興のために全力で取り組む」

 ―6期目となるが、県議会で自らに課せられた役割をどのように感じているか。

 「(辞職から)2年近く経過しており、戻ってみないと分からない部分もあるが、県議会の総意を取りまとめる側の役割を求められる立場になるのだろうと思っている。これまでに培ってきた経験と人脈を最大限に生かして、精いっぱい地域振興のために努力する決意でいる」

 「同時に、奄美の4人の県議がしっかり呼吸を合わせて、やっていくという意味でも、その橋渡し役としての務めを担っていきたい」

 「特に今回、奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長、改正の議論が喫緊の課題としてある。奄美群島の自治体と地域課題を共有していく中で、奄美選出の4人が足並みをそろえ取り組める環境づくりを進めていきたい」

 ―選挙戦では「結いの島奄美、自立への挑戦」を掲げた。その真意は。

 「世界自然遺産登録が実現し、コロナ禍後は交流人口も増えていく。奄美の大切な文化をしっかり守り育てると同時に、奄美の魅力を発信して、地域を発展させていく。観光振興はその大きな柱となる。地元の市町村議や首長、民間と地域課題を共有しながら、市町村で解決する課題、県政の中で答えを出す課題、国にしっかり訴えるべき課題について相互共有し、スピード感を持って取り組んでいく」

 「一番重要なのは奄振法の延長、改正。法改正は今年度末だが、現実的には暮れの予算編成で、どれだけ奄振事業に配分されるかで決まる。もっと言えば、夏の概算要求の段階でどれだけ新たな事業メニューを取り入れることができるか、そこが当面の勝負所。それほど時間に余裕はない」

 ―改めて、6期目への思いを聞きたい。

 「今年は奄美群島の日本復帰から70年という大きな節目を迎える。奄美の原点は復帰運動だと思っている。先人の努力、奄美を思う皆さんの熱い思いをしっかり受け継いでいかなければいけない。これまで、躊躇したり、遠慮したりすることもあったが、今後は自分のやるべきことを躊躇なく、思いっきりやっていきたい」
(聞き手・赤井孝和)

メモ

(ながい・あきよし) 奄美市出身。創価大法学部卒。農産加工販売会社役員。1979年から95年まで保岡興治元衆院議員秘書。2003年から5期18年鹿児島県議。自民党県連の幹事長なども歴任した。小学校~大学まで打ち込んだ剣道の腕前は3段。学生時代に東京都内の大会で優勝した経験もある。妻・由美子さん(63)との間に2男1女。全員社会人となり、現在は妻と2人暮らし。66歳。