―再選から一夜明けての感想は。
「結果分析はこれからだが、身の引き締まる思い。勝たせていただいたお礼のあいさつ回りをする時間がほしい。10町村と距離があるが、今すぐにでも駆け付け、感謝の思いを伝えたい」
―勝因は。
「みなさんに助けられたというのが実感。1回目の挑戦から、変わらず応援してくれた人たちの縁がつながり、広がった」
―初めての議席を守る立場での選挙となったが。
「自民党公認とはいえ、前回までは実績もない中での戦いだったので、チャレンジという部分が大きかった。今回は公認の重圧を感じながらの戦いとなったが、自分の思いが住民に届いてなく、住民の声も聞ききれてないと感じており、挑戦という部分では変わらなかった」
―投票率が過去最低だった前回を、さらに下回る結果となったが。
「県議選は興味がないという意見が聞かれ、各地を回っても感じる部分はあった。一番忙しい年度末年度始めや、農業においても繁忙期ということもあるが、コロナ禍を経て距離感が広がったと感じた」「少しでも距離を縮めようと、県政報告の全戸配布を行ってきたが、投票に行けば自分たちの生活が変わる、というところまで感じさせられなかったことは課題」
―同じ伊仙町から現職批判を訴える候補が出馬したが。
「町長選のしこりは感じたが、候補者は思いがあって立候補し、また思いがあって支持する人がいる。政策論争を取り交わしながら選挙を行うほうが、住民の関心も高まる」
―天候に左右された選挙戦だったが、欠航、抜港の課題をどう感じているか。
「選挙戦において条件は一緒。欠航、抜港の課題は1期目の一番初めに質問した課題。塩田康一知事にも取り組んでいただき、国も視察などを行っているので、今後は変わってくると思う」「しかし、住民に見えていない以上不安要素は消えない。情報の共有が今後の課題であり、それができれば政治を身近に感じてもらえる。また、すべてが個別の課題ではなく、一つひとつの課題を解決することで、全ての課題に直結する」
―8島10町村にまたがる選挙区の見直しの声もあるが。
「奄美群島全体の4議席は確保すべき。自民党県議団では、選挙後に議論をするという声もあるので、今後議論を重ねる必要がある」
―現役農家として、農政への期待が大きいと思うが。
「県として農業振興は大きな課題であり、課題は必ず解決できる。県政でのサトウキビの認識は高まっているので、議論する状況を作っていく」「肥料、飼料高騰については、外からの購入だけでなく、群島内にある有機物を堆肥として活用することも必要」
―2期目の抱負は。
「新たな局面にきており、今まで通りのやり方では通用しない。農業を産業としての目線で考えていく必要がある。新たな発想で奄美の課題に取り組んでいく」「現場の課題の解決策は現場にしかないと思っているので、現場に足を運び、声を聞き、新たな発想を生み出していきたい」「課題解決に対し、これまで以上に愚直なまでに誠実に取り組む。やる気しかなく、すぐにでもいろいろな課題に取り掛かりたい」
(聞き手・本間芳一)
(ことぶき・はじめ)伊仙町犬田布出身。日本文化大学法学部卒。東京で不動産会社などに勤務。2011年にUターンし、家族経営で畜産農業を営む。19年に県議選2度目の挑戦で初当選。農業で島を豊かにしたいと共通の気持ちの、妻・いづみさん(35)、長男・亮眞くん(5)、次男・謙芯くん(3)、香穂ちゃん(3カ月)の5人暮らし。49歳。