新たな最上位計画策定へ

アフターコロナの時代見据え
世界自然遺産やDX視点に 奄美市

 奄美市は、新型コロナウイルス感染症などの影響で、約3年間議論を見送っていた同市の最上位計画の策定作業を今年度から開始する。すでに計画内容などを議論する審議会と策定委員会の委員の選任作業を進めており、夏までには審議会などを設置し、策定にむけた議論を本格化。来年3月末の計画策定を目指す。

 最上位計画は、市の将来にわたる政策の方向性などを示すもの。これまでの同市の最上位計画に当たる「第1次総合計画」(2011年度から10年間)は、2020年度末に期限を迎えたが、市は「新型コロナウイルス感染症の拡大による社会経済の混乱」などの理由から策定作業を先延ばししていた。

 市は昨年度、計画策定に向けた庁内ワーキンググループを設置。新型コロナの経験や世界自然遺産登録を踏まえた計画の見直し、奄美群島振興開発特別措置法やデジタル技術による社会変革(DX=デジタルトランスフォ―メーション)などの視点を踏まえた計画策定を目指すことなどを確認した。

 新たな計画では、①目指す将来像の明確化②市民が実感できる成果指標の設定③計画期間の再検討④最上位計画と(分野ごとの)個別計画の関係整理⑤(名称を含めた)計画の再構築―の5項目を論点に意見を集約する。

 市は、計画内容について議論する審議会と策定員会の公募を2~3月にかけて実施、一般市民からも多数の応募があったという。

 審議会は推薦や公募による民間委員15人で構成。官民で構成する策定員会は、複数の分野に分けて数人ごとの分科会を設置し、議論を進める計画。

 市企画調整課は、11月をめどに計画案の作成を目指しており、その後、審議会などの議論を経て、来年3月の市議会に議案として上程、策定する。

 最上位計画の策定を巡っては、当初、1次総合計画の期限となる20年度末の策定を目指していたが、新型コロナの影響で市民の意見などを集約する審議会開催のめどが立たない状況が続いたことなどもあり、「コロナ禍の収束が見通せた時期に、新たな時代を見据えて策定作業を行うことが望ましい」としていた。

 計画の期限が終了した21年度以降については、市町村合併(06年)後の約20年間のまちづくり全般の基本計画となる「奄美市町村建設計画」を踏まえ、第1次総合計画の理念や施策を踏襲した市政運営を行ってきた。