5月から徳之島で調査

今月17日から始まる植物などの移動規制「第1回広報強化週間」をPRする名瀬支所の植物検疫官

CG病根絶へ確認 苗木など持ち込み注意
17日から 移動規制広報強化週間

 植物防疫法に基づく植物などの移動規制に関する今年度第1回広報強化週間が今月17日~21日まで設定されている。門司植物防疫所名瀬支所では島外から訪れる観光客などが利用する奄美空港などで広報活動により移動規制の周知を図っていく。対象となっている病害虫のうち、かんきつ類に大きな被害を与えるカンキツグリーニング病(CG病)は発生地のうち徳之島で5月から国による根絶確認調査が行われることから、名瀬支所は他島から苗木などを持ち込まないよう呼び掛けている。

 CG病は、主にかんきつを宿主とするミカンキジラミによって媒介される細菌病。感染した樹木は、樹勢が低下し数年後には枯死する。奄美群島では2002年4月に与論島で初めて確認されて以降、奄美大島を除く沖永良部島、徳之島、喜界島でも感染樹が相次いで確認された。

 奄美群島の各地では果樹農業の柱となってタンカンのほか、在来かんきつ類も栽培されており、CG病被害拡大の防止、根絶に向けて国や県、地元市町村の関係行政機関は調査や防除活動に着手。4島のうち03年に感染樹が見つかった喜界島のみ根絶(12年に根絶宣言)に成功している。残る3島の中では徳之島が感染樹は減少傾向にあり、県などの調査でゼロが続いていることから国(農林水産省)による確認調査が行われることになった。

 同省門司植物防疫所によると、徳之島でのCG病根絶確認調査は5月1日から1年間かけて実施予定。感染樹なしと判定されたら喜界島に続き根絶が宣言されるが、判定されない場合はさらに調査期間が1年延長になる可能性もあるという。徳之島での調査にあたり、今回の広報強化週間を踏まえて名瀬支所は沖永良部島、与論島から徳之島に苗木など持ち込まないよう協力を呼び掛けている。規制の対象となっているのは、かんきつ類の苗木や枝葉(葉を取り除けば果実は持ち出し可能)、庭木や生垣などとして植えられているゲッキツの苗木や枝葉。

 CG病以外で病害虫が付着する植物などが移動規制となっているのは、サツマイモなどに大きな被害を与えるアリモドキゾウムシや野菜類全般を食害するアフリカマイマイなどでは、サツマイモ、エンサイ、グンバイヒルガオが奄美群島全域からの持ち出しが規制されている。

 群島民だけでなく島外から訪れる観光客などへの移動規制周知を目的にした広報強化活動では、奄美空港到着ロビーへのポスター掲示のほか、新型コロナ禍で実施を見合わせていた搭乗客へのポケットティッシュ(移動規制の案内)配布を再開、今回は関東・関西からの便の利用客に配り理解を図っていく。

 なお、名瀬支所では22年移動制限・禁止植物取締実績(奄美群島内、速報値)をまとめている。それによると取締件数は10件で、品目はかんきつ生茎葉5件(いずれも携帯品)、サツマイモ生塊根4件(携帯品3、宅配等1)、同生茎葉1件(携帯品)。