田植えに黄色い歓声

地区唯一の水田でにぎやかにあった田植え作業(写真上)と、コロナ禍で3年ぶり復活となった伝統芸能〝あぜ道交流〟=16日、天城町瀬滝

 

 

3年ぶり伝統芸能〝あぜ道交流〟も
天城町瀬滝

 
 【徳之島】天城町瀬滝「こうしりいじゅん公園」稲作体験用のミニ水田で16日、恒例の田植え体験交流があった。地元の兼久小(児童数56人)やPTA、地域住民など関係者約100人が参加。絶好の快晴下、泥に足を取られて座り込む子の絶叫など歓声を響かせながら今年も食農体験活動を開始。中断していた伝統芸能踊りの〝あぜ道交流〟も3年ぶり復活した。

 「こうしりいじゅん」は「川尻の湧水」の意。1955年ごろまで瀬滝地区住民の水くみや洗濯の場、井戸端会議など交流の場。農地造成や自然災害で埋没危機に瀕したが県事業に絡めて96年に公園化。同地区唯一の体験用水田(約150㌃)も設置。4年前、瀬滝集落主体から町南部地区推進協議会(院田吉雄会長)主催に移行して伝統を守っている。

 今年は「より積極的に地域と関わる学校に」と兼久小の仮屋浩一校長ら全教職員が田植え作業の全般をリード。苗定植用のロープ張りや号令、小分けして準備した苗の束を背後から児童たちに手渡すなど密着サポート。児童たちのてんやわんやの爆笑ハプニングも交え、交代しながら約1時間かけて植え終えた。

 初めて田んぼに入った新1年生の豊村ゆのちゃんと宝のどかちゃんは「ブカブカして倒れそうになったが、楽しかった」「おもちをついて食べたい」。感想発表では「昔の人たちはこんなにも大変なことをしていたのだと思った」「6年生最後の田植えは楽しかった」など声も。

 この後、コロナ禍で中断していた伝統芸能「七月おどり」と「夏目踊り」(町無形文化財)も同公園で3年ぶりに復活。高齢者たちの手ほどきでほのぼのとふれあいの輪を広げた。

 稲作体験活動を下支えしている町南部地区推進協の院田会長(72)=瀬滝集落区長=は「水田は昭和42、43年ごろに地域からなくなり、同以降の世代は稲作経験がない。8月に収穫・脱穀し、9月の敬老の日に餅をついて高齢者たちに配るが、食農体験と世代間の交流にも役立っている」と目を細めていた。