タンカン出荷、計画上回る

委託選果で持ち込まれたタンカンの外観品質の悪さが指摘された2022年度出荷販売反省会(17日午前、奄美市農業研究センターでの開催)

 

外観品質課題 光センサー価値に懸念の声も
22年度JA大島事業本部

 

 JAあまみ大島事業本部生産部会連絡協議会果樹部会(大海昌平会長)主催の2022年度タンカン出荷販売反省会が17日から始まった。同日午前中は最も量が多い奄美市の生産者を対象に市農業研究センター会議室であり、出荷(共販)実績は97・5㌧で、前年度実績を31・3㌧上回り、計画比でも5・86%増となった。品質保証が可能な光センサーが配備されている奄美大島選果場利用促進へ島内5市町村による選果料助成(良品以上)が継続され、選果のみで持ち込まれた委託量が引き続き伸びたものの、外観品質の劣ったものが選果を通り地元市場などに出荷されたことから、光センサーの存在価値を懸念する声が上がった。

 22年度販売実績報告によると、同年度産のタンカン生育状況で着果は表年ということもあり前年度より生産量が多く、内部品質は平均糖度が11・13度となった。3Lサイズで糖度が低く、製品化率の低下から追加注文を希望した業者に発送できなかった事態も。下場(平場)と上場(山間部)に分けての収穫時期の方は計画通りにできたことから、スムーズな選果・出荷につながったという。ただし一部の生産者で数量を申し込んだにも関わらず、実績(選果場持ち込み)ゼロとなり、計画出荷に支障が出ることもあった。

 販売面では、部会員出荷申し込み計画量(共販92㌧、委託選果152㌧)を基に秀品・優品・良品を宅配主体で、業者などと相対価格設定。有利販売に取り組んだ結果、価格(キロ当たり単価)は製品582円(前年549円)、外品131円(同116円)と上昇、農家手取り向上が図られた。

 出荷実績を支所別にみると、名瀬19・2㌧(計画比29・67%減)▽笠利1・9㌧(同11・76%増)▽住用24・4㌧(同95・2%増)▽龍郷9・6㌧(同10・34%増)▽大和15・2㌧(同5・56%増)▽宇検12・5㌧(同8・76%減)▽瀬戸内14・5㌧(同5・84%増)。名瀬と宇検のみ計画を下回ったが、なかでも名瀬は3割近い減少となった。増加で目立つのは住用で、計画より倍増、前年度実績との比較でも10㌧も上回った。

 光センサー利用となる選果場持ち込み数量は共販110㌧(計画比19・57%増)、委託156㌧(同2・63%増)となり、いずれも増加。数量的には伸びが続いているが、出席者から「共販・委託とも選果場に持ち込むものは家庭選別(生産者自身による選果選別)を徹底すべき。JAが扱う共販は徹底されているが、委託で外観品質が悪いもの(傷や病気被害)も持ち込まれ、腐敗果以外は光センサー選果を通っている。共販・委託を問わず選果レベルを統一しないと、光センサーの存在価値・優位性を失ってしまう」との指摘があった。

 糖・酸といった内部品質を含めて光センサーを通った選果品には証明するシールが貼られる。光センサーシールが貼られた製品が地元市場に出回り、仲買人から「これが光センサーを通したものなのか。外観が悪く、これでは消費者に手に取ってもらえない」とのクレームが寄せられたという。「『奄美たんかん』として同じように島外に出荷されるだけに、委託もレベルを上げて共販と同じにしなければならない。家庭選別の徹底、選果レベルの引き上げの必要性をJAは生産者に伝えていく姿勢を持ってほしい」との注文も出ていた。

 17日は龍郷町でも出荷販売反省会が開催され、今後は18日に宇検村(結いの館)と瀬戸内町(JA瀬戸内支所2階)、19日に大和村(防災センター1階)である。