大浜海浜公園に毒クラゲ数千匹漂着

青い体と半透明の〝帆〟が特徴的

バケツいっぱい採集されたカツオノカンムリ

「サンガツサンチ」前に撤去作業予定

 今月初めから徳之島や奄美大島各地で漂着が相次いでいる毒クラゲの一種カツオノカンムリ。19日、奄美市名瀬の大浜海浜公園の砂浜に大量漂着しているのが見つかった。長さ300㍍の砂浜に青い体が一直線に線を描いていた。

 同公園を管理する人が朝見つけ、奄美海洋展示館(森田雅人館長)に報告。同展示館の高村洸介主任学芸員が調査すると、18日の満潮時(午後6時6分)に流れ着き、砂浜に取り残されたとみられる個体が横たわっており、「推定数千匹が、(満潮時の最高水位を示すように)砂浜に青い帯状に並んでいた」という。

 高村さんは展示を試み、波打ち際の生きた個体をすくって持ち帰ったが、間もなく死んでしまったという。

 「生態ははっきり分かっていないが、外洋に密集した状態で存在する姿が目撃されている。自ら泳ぐことはできず、(ヨットのように)〝帆〟を立て黒潮に乗って移動しているようだ」「ポリプ(幼体)は流れ藻などにくっついて成長すると考える学者もいる」と高村さん。

 奄美新聞が調べたところ、同公園と同じ東シナ海に面する小宿、朝仁海岸や文化センター奥の水浜、市街地に近い三角浜でも漂着の根跡がみられた。ただ、青い個体の色が薄れており、数日前の漂着とみられる。長浜港の船を出入港させるスロープでは確認できなかった。

 カツオノカンムリは体長約5㌢で半円形。全身は青く、〝帆〟にあたる部分は半透明。青い体の横の部分に毒のある触手があり、刺されると電気が走るような痛みを伴うという。複数回刺されるとアナフィラキシーショックを起こす場合もある。

 同公園では2021年2~4月にも同規模の漂着があり、今年2月には、触手が長く毒性の強い「カツオノエボシ」が流れ着いている。この際は、公園各所に啓発ポスターを貼って触らないよう呼び掛けたが、今回も同様の措置を取る予定。

 また旧暦3月3日(サンガツサンチ)にあたる22日には、初節句を迎える女児の足を海水につけ健康を祈る奄美の伝統行事「浜下れ」が予定されているため、会場周辺の個体撤去作業を行う予定だという。