クロウサギ研究飼育施設着工

 

伊集院村長らが出席、施設建設工事の安全を祈願した地鎮祭と完成予想図

 

25年3月完成予定 治療保護や展示飼育など計画
大和村の建設予定で地鎮祭

 

 大和村が同村思勝の「まほろば水と森公園」敷地内に整備計画している「アマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)」の建設工事に向けた地鎮祭が24日、建設予定地であった。伊集院幼村長のほか、同施設の設計や施工に関わった関係者らが出席、工事の安全を祈願した。伊集院村長は地鎮祭で「多くの人に奄美の自然の素晴らしさを理解してもらい、子どもたちが学べる施設になることを願っている」などとあいさつ。2025年3月完成予定の同施設に対する村の期待の大きさを示した。

 村企画観光課によると、施設は鉄筋コンクリート平屋建てで、建築面積は775平方㍍。実施設計を㈱東条設計、建築工事を㈱大和建設が施工する。施設本体の工事費は約5億円を見込んでいる。

 施設では、交通事故などでけがをした国の特別天然記念物アマミノクロウサギを保護、地域の動物病院と連携して治療と十分なリハビリを行いながら野生復帰を目指す施設として同村が整備するもの。施設内では、クロウサギが生息する自然環境を再現した屋外展示施設をガラス越しに観察できるほか、夜行性のクロウサギの活動を昼間でも観察できるよう、昼夜逆転の環境下とする屋内の生態展示室も設ける。

 療養を終えた個体は野生に戻す一方、後遺症などにより野生復帰が難しい個体については、施設内で飼育展示を継続、エサの嗜好性や跳躍力などの身体能力などについても研究を進め、タンカンなどの農業被害の削減に向けた対策などにも活用する。

 同施設は17年から協議を開始。19年から村や環境省、有識者10人からなる同設置検討委員会を立ち上げ、20年度に基本計画を策定。21年度~22年度にかけ建築及び展示設備などの実施設計を行った。施設近くには、環境省の奄美野生生物保護センターがあり、村では同センターなどを周遊する仕組みもつくっていく予定で、子どもたちの環境教育や奄美大島で野生生物などの調査を行う研究者の活動支援などへの活用を目指す。

 地鎮祭に出席した伊集院村長は、「世界自然遺産登録後、コロナ禍ではあるが、多くの観光客が奄美を訪れるようになった。大和村では、温泉施設の整備も進められている。交流人口を増やしながら村の活性化につなげていけるよう、施設を契機として村の発展につなげていきたい」などと話した。