喜界町地域おこし協力隊員が起業

「喜界島ならではの商品を届けたい」と話す谷川さん(左)と、東京での販売促進を担当する共同代表の藤倉周さん(40)

 

 

「モノ・コト・ヒトつなげたい」
特産品開発や島外販売を

 

 

 喜界町地域おこし協力隊の谷川理さん(40)はこのほど、地元特産品を使った商品開発や販売を手掛ける会社「㈱HOWBE(ハウビー)」を設立した。すでに喜界島初のクラフトビールといった商品開発に着手しており、谷川さんは「喜界島の魅力あるモノ・コト・ヒトをつなげることで、島を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

 東京から夫婦で移住した谷川さんは、2021年5月に協力隊員として喜界島観光物産協会の業務に就いた。喜界島のPRと観光資源の発掘をミッションに掲げ、情報発信や独自のイベント創出などに取り組んできた。

 起業のきっかけは「人口減少」。島の高齢化率は4割に達し、20年後には6500人の人口が4千人を割り込む見通しで、昨年だけでも、航空路線の減便やタクシー会社の存続危機、高校売店の撤退など、あらゆる衰退に直面してきた。もう一つの悩みは、観光振興のための人手不足。「喜界島には自然や食、文化や人の温かさなど、観光先進地にないものがたくさんあるのに生かされていない。急がなければ」と決意を固めた。

 開発に掛かったのは、島ミカン「シークー」のクラフトビール、同炭酸飲料、塩サイダーの3商品。港近くに借り受けた店舗改修に向けた資金調達のためのクラウドファンディングも好調で、開始3日間で第一目標の200万円に達した。

 谷川さんは「まだまだ伸びしろの多い島で、新しい特産品を生み出して島外に発信・販売していくのが会社の役割」と強調。「難しいのは承知だが、人口目標には1万人を掲げた。価値ある商品やサービスを提供し続けることで、関係人口増加や移住促進に貢献していきたい」と話している。

 協力隊の任期は25年3月まで。任期後も同島での定住を希望している。