特定地域づくり協組「奄美市しまワーク」創立

「奄美市しまワーク協同組合」の創立に参加した市内8事業者の代表と安田壮平奄美市長ら

観光、農業、宿泊など8事業者参加 夏以降の事業開始へ始動
地域産業の働き手派遣

 地域の人手不足解消と移住者の増加などを目的に、繁忙期が異なる地域の仕事を組み合わせて働き手を派遣する「奄美市しまワーク協同組合」(奥圭太代表理事、組合員8事業者)の創立総会が25日、奄美市の奄美観光ホテルであった。総会では、2023年度と24年度の事業計画や予算、役員選出など計15議案を承認した。国の「特定地域づくり事業協同組合制度」を活用した組織として奄美では4組合目。夏以降の事業開始を目指し、今後、県に組合の認定申請などを行う。

 特定地域づくり事業協同組合制度は、人口の急激な減少に直面している地域において、農林水産業や商工業、観光業などの担い手を確保する国の制度で、組合の運営に対しては国や市町村の財政支援がある。

 奄美市では、昨年度から組合設立に向けた協議が行われ、今回、観光、宿泊、農業、イベント企画などの事業を行っている市内8事業所が参加、市しまワーク協同組合を設立することになった。

 同組合では移住者を中心に正規職員を雇用、組合員の事業所の繁忙期などに合わせ、期間を限定して職員を派遣。複数の仕事を組み合わせることで、年間を通して働ける場を提供する。派遣職員の人件費や事務局の運営などにかかる経費の約半分が国や市町村から助成される。

 組合員となったのは、▽㈱ばしゃ山▽㈲アーマイナープロジェクト▽㈱しーま▽㈱元井農園▽奄美観光㈱▽結人㈱▽前田社会保険労務士事務所▽㈲奄美ビジネス―の8事業所。組合の事務所は同市名瀬港町3―10小原ビル3階で、事務局職員1人を置き、雇用する職員の募集や派遣先の選定などの業務を行う。

 この日承認された事業計画によると、初年度となる23年度は、5人の職員を雇用する予定で、県の認定手続きなどが済み次第、職員の募集を開始する。24年度は1人増の6人の雇用を予定している。

 総会後、奥代表理事は「組合のかじ取りを担う重責に身の引き締まる思い。奄美では人口減少に伴い地域産業の担い手が不足している。一方で、世界自然遺産登録などによって観光客が大きく増加している。組合として地域外からの移住者を中心に雇用し、労働力として派遣することで、地域産業の振興発展に努めていきたい」などと抱負を語った。

 国内では4月1日現在、79組合(82市町村)が認定を受けており、県内では5組合が事業を行っている。うち、奄美では21年5月の沖永良部島(和泊町、知名町)を皮切りに、与論町(22年5月)、伊仙町(同10月)で組合が設立している。