6月から休館、再開未定

6月1日から休館となることが決まった「タラソ奄美の竜宮」

「タラソ奄美の竜宮」開業から16年 指定管理者が撤退
赤字経営にコロナ禍追い打ち

 奄美市名瀬の大浜海浜公園内にある健康体験交流施設「タラソ奄美の竜宮」(指定管理者・㈱ウェルネスデベロップメント=本社・東京都)が6月1日から休館することが26日、明らかになった。同市によると、長年の赤字経営やコロナ禍による利用者離れの回復が見込めないことなどから、2月にウェルネ社から5月末で施設運営から撤退する報告を受けたという。市はいったん休館した上で、再開に向けて施設の在り方などを抜本的に見直すことにしているが、再開の時期などは未定。市紬観光課は「利用者や民間企業などの意見なども聞きながら、市民が安心して利用できる施設として再出発できるよう検討していきたい」としている。

 休館は、同日の市議会全員協議会で市当局が報告、ウェルネス社との協議など、これまでの経緯について説明した。

 タラソ奄美の竜宮は、海水を利用した入浴、運動施設として、総工費約10億5千万円をかけ、海水プールやトレーニングルームなどを整備。2006年12月のオープン以来、同社が指定管理者として管理運営を行ってきた。

 オープン翌年度には年間10万8371人の利用があったが、08年度以降は年々利用者が減少、赤字経営が続いていた。16年からは市が指定管理料として毎年度790万円の財政支援を行った。新型コロナウイルス感染症の影響で利用者が3万3177人にまで減少した20年度からは指定管理料を835万5千円に引き上げ支援を続けたが、利用者の減少に歯止めが掛からない現状などから、同社は撤退を決断した。

 休館が明らかになった同日、施設入り口には、利用者に同社の撤退と6月1日からの休館を伝える文書が掲示されていた。文書の中で同社は「コロナ禍の影響で経営が厳しく、これ以上の資金調達ができる状況にはありません」などと記し、今年2月、市に指定管理取消の申し出を提出したことなどを報告。先払いの会費などは払い戻しを行う。

 同課によると、同社の申し出を受け、5月末で指定管理を取り消すことを決めた一方、6月以降については、直営も含めた継続運営なども検討したが、同課は「利用者の安全面やこれまでの運営、利用状況などを考慮した結果、継続運営は困難と判断した」という。

 館内にはレストラン施設などもあるが、20年度以降は休業状態にあり、新型コロナの感染拡大の影響もあり営業されていない。こうした状況などもあり、同課は「複合的な施設として、機能の有効活用や運営方法などについて幅広く検討していきたい。できるだけ早急な再開を目指したい」としている。