北大島保護区保護司会総会で所信を述べる松田秀樹会長(左から2人目)
北大島保護区保護司会(松田秀樹会長、会員68人)は26日、奄美市市民交流センターで2023年度総会を開いた。安田壮平奄美市長、久保田昌二奄美警察署長らを含む関係者約50人が出席した。総会終了後は、保護観察官による「家族支援」をテーマにした研修も行われた。
総会は22年度の事業報告、収支決算報告がされ、23年度の事業計画案、収支予算案が示され承認された。
松田会長は「来年は設立70周年を迎える。会員数は定員に足りていないが、組織づくりを進めるOB会と交流を図っていく」と決意を述べた。
自身も名瀬支部の保護司会に所属する安田壮平奄美市長は「窃盗・暴行の事案が減少していない。非行少年に息長く取り組むことが再犯防止につながる」とあいさつ。
久保田署長は「22年度は県内での刑法犯が増えた。窃盗・粗暴犯が多く再犯率が高い。飲酒、喫煙、深夜はいかいに注意し、声掛けなど抑止活動をしているが、新型コロナの5類変更で犯罪が増えると予測される。保護司の活動は必要不可欠になっている」と警鐘した。
総会後に行われた第1期定例研修では、鹿児島保護観察所・奄美駐在官事務所、江﨑郁弥(ふみや)保護観察官が、非行少年の家族を支援することで再犯を防止する方策を説明した。
少年が犯罪に陥り再犯を繰り返す背景に、薬物依存や発達障がいなどがある事例を説明。こうした場合、精神福祉センターや医療機関などから正しい知識を得ることが先決で、保護司が随伴することも必要になるなどと講話した。
江﨑観察官は「薬物依存は覚せい剤や大麻などの例が多い。特に大麻に関しては罪悪感が薄いようだ」とした。また、「今年中には更生保護法の改正がされる予定。以前は『保護観察期間が終わったら関われない』ということもあったが、改正後は地域援助規定が設けられる。遠慮なく観察所に連絡してほしい」と話した。
同保護観察官事務所は、奄美群島が日本復帰となった1953年の翌年、名瀬駐在官事務所として全国で初めて開設された。24年には設立70周年を迎える。OB会も組織作りに着手し交流を図るという。