クロウサギ交通事故件数表示板を設置

環境省奄美野生生物保護センターに設置された奄美大島のアマミノクロウサギ交通事故件数を伝える表示板(提供写真)

多発、島民や観光客に周知
環境省「優しい運転」へ

 国指定特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故が増加傾向にある中、環境省はクロウサギの交通事故件数を表示する掲示板を作成、奄美大島自然保護協議会(事務局・奄美市世界自然遺産課内)の協力のもと島内各施設に設置した。件数を表示することで多発している状況を島民や観光客に広く周知、「人にも動物にも優しい運転」につなげる。

 同省沖縄奄美自然環境事務所・奄美群島国立公園管理事務所によると、「ストップ!ロードキル」を掲げ、クロウサギのイラストも掲載している表示板の大きさはA4サイズのフレーム付き。今年の1月~前月末までの交通事故件数、昨年1年間の交通事故件数、今月の一言(前月末までの交通事故の傾向を踏まえ、事故防止に向けたメッセージ)が表示内容。前月末までのクロウサギの交通事故件数を翌月の上旬に更新する。

 現在設置されている場所は、奄美野生生物保護センター(大和村思勝)、奄美大島世界遺産センター(奄美市住用町)、奄美市立奄美博物館(奄美市名瀬)、まほろば館(大和村大棚)、せとうち海の駅・観光案内所(瀬戸内町古仁屋)、島内の役所・役場窓口など。随時増やしていくという。大型連休に入り観光客らが島内を訪れているだけに、関心の高まりが期待されそう。

 なお、同省奄美野生生物保護センター(電話0997・55・8620)ではクロウサギなど希少種の死体情報を集めており、「傷ついていたり、死んでいる個体を見つけたら連絡」を呼び掛けている。ケガなら、早めの対応によって動物が助かる可能性が高まるとしている。

 同省がまとめた2022年のクロウサギ交通事故死件数は、奄美大島が107件(前年比45件増)、徳之島40件(同21件増)で、両島とも過去最多となった。多発した場所は、奄美大島が南西部の国道58号や県道、町道、徳之島は北部の県道となっている。