レシピのない料理教室 龍郷町〝特別講座〟

楽しそうに野菜をトッピングする川口茜さん

台所から子どもの個性を育てる

 「台所は子どもたちの〝個〟が育つ場所になる」との思いを込めた料理教室が6日、龍郷町りゅうがく館でスタートした。レシピがあるわけではなく、材料も目分量。目的は「冷蔵庫の残り物で、子どもたち自身が料理を完結させること」。親の力を借りず料理を完成させることで、自己肯定感を得、社会性を身につけさせるという。

 2023年度生涯学習講座の〝特別講座〟として開かれた「こども料理教室」には、同町子ども子育て応援課の管理栄養士・小林いずみさん(52)の長年の思いが込められていた。

 小林さんは保健福祉課に所属し、生活習慣病などを扱う成人保健事業に13年携わってきた。その頃から、大人の食生活改善に限界を感じ、子どもたちの食育に関心が傾いたという。「台所は子どもが成長する場。料理を自分で作って達成感を感じてもらいたい」と企画、町内全戸にチラシを折り込んだ。

 チラシを目にした同町保健福祉課に採用されたばかりの管理栄養士・重井香織さん(38)が「勉強させてほしい」とアシスタントを申し出たという。

 初回は「おばけハンバーグ」。定員14人だが、大型連休中ということもあり11人が参加した。子どもたちはタマネギ班、サラダ班などに分かれ料理。慣れない手で危なっかしく包丁を握り、踏み台に乗ってタネをこね、約2時間かけて思い思いのハンバーグを作り上げた。

 「最後バンズを倒したので99点」と自己採点した円小2年・谷虎汰朗君(7)。母親の亜矢子さん(50)は料理前、「普段からエビフライに衣をつけたり、料理に興味はあるようだが包丁が」と心配していたが、無事トマトをスライスした。

 料理は初挑戦だという赤徳小4年・川口葵さん(9)と2年・茜さん(7)姉妹は「焦げたけど上手にできた。焼くのが楽しかった」「パンを重ねてトッピングするのが面白かった。ママにも食べてもらう」と笑顔で話した。

 教室は同じメンバーで、来年2月まで計10回開く。「最後は、一人ずつご飯とみそ汁を作ってもらう」と小林さんは決意を語った。