給食室を備蓄倉庫に

奄美市が備蓄倉庫としてグリーンストアに貸し出す旧金久中給食室

奄美市とグリーンストアが連携
食料品など台風や災害に備え

 奄美市は、同市名瀬塩浜町の旧金久中学校給食室を、「災害時における支援物資の供給に関する協定」を結んでいる同市名瀬のスーパー「㈱グリーンストア」(里綾子社長)に食料品などの備蓄倉庫として、無償で貸し出すことを決めた。貸出期間は来年3月末までで、安田壮平市長は「大規模災害が発生した場合のほか、台風などにより本土からの物資が止まった時などに備え、食料品や生活用品の島内備蓄を増やしていきたい」と、倉庫としての活用に期待している。 

 同校の給食室は鉄筋コンクリートの平屋で、延べ床面積は約170平方㍍。2018年9月の市給食センターの稼働を機に市内の小中学校の給食室が廃止に伴い閉鎖されていた。

 同校は、離島航路のフェリーが着岸する名瀬新港からも近く、物資輸送の利便性も高いことから、同市が着目。グリーンストア側と協議を重ね、貸し出しが決まった。

 市は、大規模災害が発生した場合、倉庫に備蓄した食料品などを救援物資として利用、市民などに提供するほか、グリーンストア側は、台風などに備え、物資の備蓄倉庫として利用することで、これまで数日分しかストックできなかった商品が、最大1週間から10日分ほどストックできるようになる見込み。

 備蓄倉庫の提供について、グリーンストアの里社長は「台風に備えた施設を自社だけで整備するのはコスト的にも難しい。今回、無償で施設を提供していただくことになり、大変助かった」と感謝。飲料水や米などの食料品のほか、トイレットペーパーなど、同社の市内5店舗で販売する約1週間分程度の生活用品の備蓄倉庫としての利用を想定している。里社長は「施設内部の状況なども確認しながら備蓄品目を検討し、6月ごろをめどに食料品などの備蓄を進め、台風シーズンに備えたい」と話した。

 一方、施設には冷蔵、冷凍機能がないことから、生鮮食料品などの備蓄は出来ない。里社長は「野菜や肉、牛乳といった食品の備蓄は今後も課題として残っている。今回の備蓄倉庫の活用を機に、官民が連携して、台風などの備えに協力していければ」と話した。

 安田市長は「いろいろな課題があるが、まずは既存の施設を活用することから始めたい」としている。