16日、徳之島町からスタート

徳之島3町で繰り広げられたカンキツグリーニング病の駆除作業(資料写真)

国のCG病根絶確認調査
県の4年間調査で感染樹ゼロ

農林水産省門司植物防疫所は、かんきつ類に大きな被害を与えるカンキツグリーニング病(CG病)の徳之島での根絶確認調査を16日の徳之島町からスタートする。防除調査など県による4年間の調査で感染樹が確認されなかったことを受けての対応。1年間予定しており、国による調査でも感染樹ゼロと判定された場合は、喜界島に続き根絶が宣言される。

同植防によると国の調査は、出先機関を含む植防のほか、県・地元自治体の担当職員も加わって6班体制で推進。1週目が徳之島町、2週目天城町、3週目伊仙町で1回目の調査を終了。次の調査までは2週間空けて、その間抽出した葉が感染していないかPCR(病原菌の遺伝子増幅技術)検査で調べる。その後、再び3町それぞれ1週間ずつの調査と検査を繰り返す。

抽出調査になり、同植防国内検疫担当によると、3町で約7千本強は確実に調査するという。来週から始まる1年間の調査で感染樹ゼロなら根絶だが、陽性の樹木確認などでゼロと判定されない場合は調査期間がさらに延長される可能性がある。

国の根絶確認調査の前提となった県の徳之島での調査は、2022年度まで4年間(防除確認調査を3年間、残り1年間は国の調査に向けた準備)行われた。島内を9ブロックに分けての調査で、対象となったかんきつ樹木は延べ3万8197本、抽出数2903本。CG病はタンカンなどが栽培されている経済園では感染が確認されておらず、庭先などに植栽されている在来のかんきつ等で過去(県調査の前)に陽性の樹木が確認された。

県や地元自治体によると、こうした植栽地は経済園と異なり管理が施されておらず、草などが繁茂した荒れ地状態。徳之島はハブが生息することから調査や駆除の難航が予想されたが、県が3町に1人ずつの計3人を配置した専従の防除員が調査に支障のない環境を整えるなどサポート。荒れ地の草刈りなどで安全の確保のほか、感染樹の伐採では住民の説得にも当たった。4年間に及ぶ調査を専従防除員が下支え、県による調査で感染樹ゼロに貢献した。また駆除では、住民も媒介虫(ミカンキジラミ)が好んで寄生するゲッキツ(庭木などとして植えられている植物)の薬剤散布に協力したという。

県大島支庁農林水産部の町田克郎部長は「各町に配置した専従防除員の存在が非常に大きく、調査の円滑化で多大な協力をいただいた。来週から始まる国による調査で感染樹が確認されず、フリー(根絶)となった場合、徳之島ではタンカン栽培が盛んだけに生産者が安心して栽培できる。貴重な固有種である在来かんきつの遺伝子も保全できる」と語ると同時に、「徳之島に続き沖永良部島、与論島と根絶できたとしても奄美群島以南にはCG病が存在しているだけに、常に侵入のリスクを抱えている。かんきつ農業は県本土でも盛んであり、鹿児島県、さらに国内のかんきつを守るため奄美群島は水際で侵入阻止に取り組んでいる。人的資源である専従防除員の継続配置を含めて、緩衝地帯となっている役割の重大さを国は理解していただきたい」と述べた。

※メモ

カンキツグリーニング病 主にかんきつを宿主とするミカンキジラミによって媒介される細菌病。感染した樹木は樹勢が低下し、数年後には枯死する。奄美群島では2002年4月に与論島で初めて確認されて以降、奄美大島を除く沖永良部島、徳之島、喜界島でも感染樹が相次いで確認された。4島のうち、03年に感染樹が見つかった喜界島は12年に根絶宣言された。