名瀬の町並み、丹念に再現

旧名瀬市役所の庁舎を描いた作品を手に「伊藤満義 名瀬町並絵画展」の開催を伝える松井さん(右側)と、友人の勇房子さん

昨年死去の伊藤さん 約450枚の水彩画残す
めいらが中心になり絵画展企画

 香川県小豆(しょうど)島の出身で、奄美市名瀬で小売店や弁当店などを営んだ伊藤満義さん。昨年5月、91歳で死去したが、商売を退いてからは趣味の絵画制作に情熱を注いだ。作品の題材にしたのは名瀬の町並み。被写体をデジタルカメラで撮影、写真を基に丹念に描いた水彩画を約450枚残したことから、町の住人である多くの市民に鑑賞してもらおうと絵画展が企画されている。

 「伊藤満義(いとう みつよし)名瀬町並絵画展」を主催するのは松井千早登(ちさと)さん(73)、伊藤さんの息子・満(みつる)さん(61)。松井さんの母親と伊藤さんがきょうだいで、松井さんはめいに当たる。

 松井さんらによると、伊藤さんが奄美で暮らすようになったのは1959(昭和34)年。姉夫婦家族が沖永良部島に行くことがきっかけとなり、妻と娘を連れて同島に家族で移住。2年後、姉の夫が奄美大島で精肉店を始めるとして伊藤さん一家も現在の奄美市に移り住み、伊藤さんは名瀬市街地の中心商店街で小売店や総菜・弁当店を営んだ。

 その後、都市計画による立ち退きや高齢を理由に閉店。伊藤さんが78歳の時で、この頃から趣味だった絵画制作に本格的に取り組んだ。伊藤さんの手法は興味のある被写体を見つけると、まずデジカメで撮影。自分でプリントアウトし、その写真に基づいて絵を描き、町の風景を再現した。松井さんは「プラモデルづくりも趣味で、もともと叔父は手先が器用だった。絵画は独学。朝から晩まで絵を描いていたのを覚えている」と振り返る。

 絵画展は今月20日(午前10時~午後7時)、21日(同~午後5時)の2日間で、会場は奄美市市民交流センター2階のマチナカギャラリー。入場無料。展示されるのは作品(A3サイズ)のうち100~150枚。松井さんは「名瀬の町並みの中で場所が分かるよう看板などが描かれているのを選んでいる。自分が住んでいる家、アパート、ビルなどの建物が必ずあると思うので、ぜひ多くの市民が見に来てほしい。主に平成の町並みだが、心に響くものがあるのではないか」と来場を呼び掛けている。会場には展示できなかった作品をファイル(1冊20枚、20冊以上)に入れて並べることから、それを手にして眺めることもできる。

 絵画展の問い合わせは電話0997・52・2743(松井さん)。