体罰けがで被害届け

徳之島町内中教諭相手に
被害生徒と保護者

 【徳之島】徳之島町内の中学校で今年1月、50代の男性教諭が授業中、男子生徒(13)=当時1年生=の頭や腹部を殴ってけがを負わせていた体罰問題で、生徒と保護者は13日までに、徳之島署に被害届を提出したことが分かった。同町教育委員会は「事実なら当然。体罰や暴言はあってはならない」。その他事案の有無など実態把握のため、学校側に全生徒と保護者への臨時アンケートなど調査も指示した。

 同生徒の保護者ら関係者によると、同教諭(同校勤務6年目)は今年1月17日、生徒が提出した宿題のプリントが1枚足りないことに憤慨し、生徒の頭部と腹部を複数回殴ったという。生徒はみぞおち付近の痛みが続いたことから町内の病院を受診した結果、治療5日間程度を要する腹部打撲と診断(診断書)された。

 保護者の抗議によって学校側が聴き取り調査を行ったところ、同教諭は体罰の事実を認め、校長が生徒と保護者に謝罪したという。町教委は県教委とも協議して4月上旬、教諭を文書訓告処分にしていた。

 保護者は今月9日ごろになって知った処分内容に「納得できない。恫喝(どうかつ)は続いている。反省もしていない」などと反発。他の保護者らが指摘している同教諭による別事案の数々も提起。「泣き寝入りをした生徒や保護者が多数いる」として、今回の体罰の事実を機に「被害届提出」の構えも崩していなかった。

 司直の手に委ねられる事態に、福宏人町教育長は奄美新聞の取材(13日)に「体罰や暴言はあってはならないこと。けがしていれば被害届も当然で、教育者として重く受け止めている」。再発防止対策には、各校で年5回定期実施している〝いじめアンケート〟などとは別に、当該校の全生徒と保護者を対象にした臨時のアンケートなど調査の実施を指示した。学校側は、今回の一連の問題については、近く保護者説明会を開く方針という。