自給飼料増産へ支援

飼料価格の高騰が続く中、粗飼料の自給率向上が肉用牛経営の安定につながる

県、食料安全保障強化で新規事業
奄美でも耕畜連携取組み

 農業の「稼ぐ力」を引き出す県の2023年度施策では、引き続き「人づくり・地域づくりの強化」「生産・加工体制の強化、付加価値の向上」「販路拡大・輸出拡大」の3本柱を掲げている。このうち特性を生かした農畜産業の生産体制づくりは、食料安全保障の強化で新規事業により自給飼料増産に向けた取り組みを支援、奄美群島でもサトウキビと畜産の「耕畜連携」が期待されている。

 安全で安心な農畜産物の安定供給に関する施策として23~25年度の3か年で進められるのは、地域資源フル活用飼料増産対策事業。自給飼料の生産拡大に取り組む生産者や飼料生産支援組織などを支援し、飼料自給率の向上を図るもの。

 事業主体は生産者集団、畜産団体、飼料生産支援組織など。自給飼料の生産・利用拡大対策、飼料生産支援組織の育成・活動強化対策が事業内容。具体的には、畜産農家の自給飼料増産に向けた啓発(生産者研修会などの開催や啓発資料の作成)、地域の実情に応じた自給飼料増産の取り組み(品種選定や収量向上に向けた栽培実証)、飼料作物の作付拡大への取り組み(飼料作物の作付面積の拡大に要する種子購入費助成)などがある。

 繁殖雌牛の増頭が進む奄美では、肉用牛が増えることで必要な堆肥の供給増につながっているほか、自給飼料では群島内で栽培されているサトウキビとの連携も。県肉用牛振興協議会大島支部が取り組んでいるキビ収穫後の残さ(枯れ葉など)であるハカマをロール状に圧縮した「ハカマロール」で、自給で利用の粗飼料が足りない畜産農家への供給に向けた取り組みが進められている。

 「ハカマロール」の活用について県大島支庁農政普及課は「サトウキビが盛んな奄美の特徴として推進でき、循環型農業につながる。定着により耕畜連携が進む」と期待している。県の新規事業の対象として支援されることで活用に弾みがつきそう。