奄美市笠利地区食生活改善推進員連絡協議会の総会では、自生する薬用植物の薬効などを学んだ
奄美市笠利地区食生活改善推進員連絡協議会(田川道代会長 推進員16人)は15日、笠利総合支所いきいき健康課がある、ふれ愛の郷内多目的ホールで2023年度総会・研修を開いた。研修では奄美に自生する薬用植物の薬効・活用について学び、民間療法(薬草療法)として予防医学で生かすことがアドバイスされた。
総会で田川会長は「今年度の研修では薬用植物の講話がある。自然の恵みを受けた野山の野草であり、地域ならではの料理など生活に取り入れていこう」と出席した食生活改善推進員に呼び掛けた。
総会では22年度事業経過・決算報告、23年度事業計画・予算など議案を承認。23年度事業は、同年度に笠利地区が日本食生活協会事業に取り組むことが説明され、「おやこの食育教室」「世代別に取り組む生活習慣病予防のためのスキルアップ」「災害時における食育支援」などを計画している。
研修の講師を務めたのは奄美の自然を考える会顧問で、奄美群島の植物相を長年研究している田畑満大=みつたけ=さん(88)。田畑さんは実際に植物を持参しながら、自生する薬用植物の作用・用法を説明。この中では和名が「オオバナサルスベリ」で、熱帯地域に分布するバナバの葉を乾燥させたバナバ茶も紹介。分析では主成分はタンニン、グルコース、配糖体だが、インスリンに似た働きを持つコロソリン酸という物質も含むことが発見されたという。コロソリン酸は「他の茶葉には見られない成分で、血糖値を下げる働きをする」としている。
身近に自生する薬用植物への出席者の関心は高く、袋詰めの乾燥バナバ葉を手に取り香りを確認したり、質問も出ていた。こうした薬草を活用した民間療法について田畑さんは「自分に適しているかどうかを自分で試さなければならない。調子が良い時は続けて服用するが、調子が悪いと思ったらすぐ他の方法に変えるべき」と述べ、「万能薬はない。良さを見つけてほしい」として頼り過ぎず、タイミング良く利用する大切さを指摘した。
また、薬草の用い方では▽青汁として飲用・患部につける▽煮詰めて、その汁を服用▽成分をアルコールに浸出▽茶材利用▽薬湯―などを挙げた。