広域交流オンライン学習

南北約2200㌔の計11校の5年生562人が参加した広域交流オンライン学習(17日、花徳小で)

釧路―東広島―徳之島、南北約2200㌔
花徳小など11校562人

 【徳之島】ICT(情報通信技術)利活用で小規模校間の遠隔合同授業を定着させている徳之島町の花徳小学校(佐々木恵美校長、47人)の5年生9人が17日、東広島市・広島大学ヴィジョン研究センター連携の「広域交流型オンライン社会科地域学習」に初参加。北は北海道釧路市から東広島市を挟んで、南は徳之島町までの計11校の5年生ら562人が合同オンライン学習で交流した。

 東広島市と広島大同研究センター連携の「広域交流型オンライン社会科地域学習」は、同センター開発の地域学習デジタル資料集と同市教育委員会作成の小学校社会科副読本の効果的な連携による児童の主体的、対話的で深い学びの創造などを目指している。手上げ参加方式で希望校を募って連携、今年度で3年目という。

 徳之島町花徳小5年生らの参加は、広島大同研究センター側が今年2月、少人数・複式学級間のICT利活用遠隔合同授業を全国に先駆けて定着させた花徳小など同町内の状況を視察したのが縁で実現。いわばゲスト的に特別参加した。

 参加したのは、東広島市の吉川小など9校(15学級507人)、北海道教育大付属釧路義務教育学校(2学級46人)、花徳小(1学級9人)の各5年生。この日の社会科合同授業(計2時間)のテーマは「自然と人々の暮らし」。授業の全体進行は広島大同研究センター側が担当。花徳小では同研究推進員2人が技術サポートした。

 オンライン学習ではまず各地の室温(釧路10度、徳之島27・8度)やサクラ開花時期(釧路5月、徳之島1月)、緯度の違いなどを再認識。日本列島北・中・南部3地域の農業特産品の違いも統計資料を使い比較検討した。コメ、ジャガイモ、リンゴ、バナナなどそれぞれの地域で取れる物のクイズ・アンケートでも交流。各校代表がオンラインホワイトボード(ジャムボード)を使って考察理由も活発に紹介した。釧路と徳之島の「コメ作0%」の〝不思議〟では、国策(釧路=酪農、徳之島=サトウキビ転作奨励)など背景にも踏み込んだ。

 一方で、緯度・気温の違う東広島市にあっても加温栽培技術ならバナナが収穫できることを実況中継で紹介。児童たちは「取れる作物、できる時期を決めているのは自然(緯度・標高)の力だけではなく、人間(新しい技術、国の決定、もうける工夫など)の力も大きい」「地域の農業を決める自然の力、人間の力ともに大事」などと再認識し合っていた。

 一挙562人、南北約2200㌔間の合同オンライン学習に参加した同小の保岡大進君や白浜多紋君は「緯度や気温で取れる農作物の違いを実感した」「500人が同時に交流(授業)できるシステムもすごいと思った」と話した。