県内5島で「離島の特別支援教育を語りつながる交流会23」

県内5島間であった「離島の特別支援教育を語りつながる交流会2023」(徳之島会場)=21日、徳之島町みらい創りラボ井之川

当たり前の実現に「伝え続けることも大事」

 【徳之島】県内「離島の特別支援教育を語りつながる交流会2023」(オンライン)が21日、徳之島など5島間であった。可合隆平東京都立大准教授が「インクルーシブ教育と発達保障~離島のあたりまえとは何か~」と題して講演。各島の保護者代表や特別支援教育担当者ら最前線からの現状報告を基に意見交換した。障害者権利条約批准の〝あたりまえ〟実現のため「協議し、伝え続けることも大事」との報告もあった。

 全国障害者問題研究会(全障研)鹿児島支部と、昨年の第1回同離島交流会を機に立ち上げた「離島にこそINCLUSIVE(あたりまえの)教育を!ミーティング」の両組織が主催。同ミーティング事務局(鹿児島市)の進行で屋久島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の5島が参加。各島会場合わせて関係者約100人(一般ネット傍聴者除く)が参加した。

 全障研同支部顧問の内田芳夫氏(鹿児島大名誉教授)あいさつに続く経過報告では、離島の条件整備運動に連携・協力、全県的運動に進展させる離島ミーティングの立ち上げのほか、拡大幹事会での「高等部支援教室のある離島にも小・中学部分教室設置」「離島小・中学校にも通級指導教室の設置」「特別支援が必要な子どもたちに漏れ落ちる谷間・遮断を作らないスムーズな移行」など運動の具体化も改めて報告。

 河合准教授は講演で、国連・障害者権利条約24条(障害のある子どものインクルージブ教育の権利)批准に関し幅広い視点から解説。あたりまえの生活の実現へ「子ども・若者を真ん中に子ども・若者たちとともに、みんなで語り合い、学び合い、つながりあう大切さ」なども強調した。

 各島の報告では、小児の発達外来専門医が常駐しないことによる弊害例も挙げ、徳之島からは「オンライン診療の実現やコーディネーター対象児童の拡大、教育体制の充実、特別支援教室を必要とする子どもたちの選択肢の拡大、親元を離れず教育の受けられる環境の整備」の必要性が指摘された。

 屋久島側は、念願の▽肢体不自由児学級の開設▽訪問教育担当者の常駐▽中学校通級指導教室の開設―〝三つの願い実現〟も報告。「通級指導教室については関係者の半数は知らなかった。協議を続けて伝えることも大事」と、地道な啓発活動で念願を達成した喜びも紹介した。

 全障研県支部・離島ミーティングの今後の活動では、県特別支援学校等教育環境改善協に対し①同様に離島の多い長崎県も視察して先進的取り組みに学び、本県離島の特別支援教育の課題解決への計画的提言②県内の全離島を回って子どもや保護者、教職員など当事者の声を聞いて提言に生かす③1年間の県検討委員会ではなく、数年かけて丁寧に調査し、当事者の声や詳細なデータに基づく提言をまとめること(骨子)―などを要望していく方針を示した。