「作品・商品・プロジェクト賞」に奄美市

賞状とトロフィーを手に。右から3人目が喜納さん

フリーランスサミット2023 「住宅などの支援手厚い」

 【東京】フリーランスサミット2023(同実行委員会主催)が19~22日まで東京都千代田区のガーデンテラス紀尾井町17階のOpen Collaboration Hub LODGEであった。最終日にはWor―Q(ワーク)リスペクトアワード2023の表彰式があり、「作品・商品・プロジェクト賞」に奄美市が選ばれ、表彰された。

 副業や兼業を含め日本で働く人の4人に1人が、広義のフリーランスとされている。働き方の多様化が進むなかで、「フリーランスと、フリーランスとともに働く人が安心して働ける環境をどのように構築していくか」。一方で「どのような環境が安心して働ける環境なのか」が問われ始めているが、ロールモデルの共有もされていないのが実情。そこで、このアワードを通じて優秀な取り組みやロールモデルを広く社会に伝えることで「フリーランスの権利の保障、十分な収入、適切な社会的保護が重要」との理解が進み、そうした環境の元で受注側、発注側双方がリスペクトしあい豊かな創造性とパフォーマンスを発揮できることが期待されるのではと、第1回目のフリーランスサミットが開かれた。

 ワークリスペクトアワード2023では、4月1日~5月14日までの期間で、三つのカテゴリーを設けて自薦、他薦で募集した。

 ▽組織賞=発注側、フリーランス側がお互いにリスペクトできフェアに仕事ができ、安心して働ける環境を提供できている、目指している組織を表彰。一般企業、NPO、任意団体が選考対象。実施されている施策、現在進行形の施策も対象。

 ▽個人賞=発注側、フリーランス側がお互いにリスペクトできフェアに仕事ができ、安心して働ける環境の構築に寄与した個人を表彰。該当の組織やプロジェクトの中で活動されている個人が選考対象。

 ▽=発注側、フリーランス側がお互いにリスペクトできる、フェアに仕事ができ、安心して働ける環境で制作された作品、賞品、プロジェクトを表彰する。映画、音楽、文化芸能芸術分野の作品のほか、一般向けの賞品や多様な働き手が集まって遂行されたプロジェクトも対象。品質や出来栄えではなく、制作、進行過程が受発注双方にとって、安心して働ける環境であったかどうかが選考対象。

 賞には30件の応募があり、作品・商品・プロジェクト賞に奄美市が選出された。

 選定委員は法政大学法学部教授の沼田雅之さん、労働政策研究・研修機構統括研究員の呉学殊さん、ひかり総合法律事務所弁護士の山田康成さん。

 サミットの締めくくりの22日に表彰式があり、それぞれが表彰された。

 連合の山根木晴久副事務局長、Yoggyインストラクターの塙律子さん、㈱タイミーの代表取締役・小川嶺さんがプレゼンターを務め、3人の代表者それぞれに表彰状とトロフィーが手渡された。

 式では、アワードファイナリスト15件を紹介、プレゼンターらが、「託児施設設置はありがたい」、「安心して働ける環境がテーマとなっていて、マッチングプラットフォーム作りが素晴らしい」など講評した。

 組織賞にはNetflix社の「リスペクト・トレーニングの導入と波及効果」が選ばれた。

 選考委員からは「会社が率先して、労働環境の整備に取り組んでいる。波及効果が大きくなると期待」。

 作品・商品・プロジェクト賞に選ばれた奄美市の「フリーランスがもっとも働きやすい島化計画」には、選考委員から「すでに受け入れ側にフリーランスのコミュニティーが形成、住宅などの支援が手厚い」などのコメントが寄せられた。プレゼンターの塙さんからも「フリーランスが働く時に環境は一人では整えられない。地域、市で応援してくれるのは素晴らしい取り組み、心強い味方。いつか、青い空ときれいな海のもとでヨガをしたい」とコメントがあった。

 受賞に出席した奄美市商工観光情報部商工政策課課長の喜納祐司さんはあいさつで「実は賞にノミネートしているのを知らなかった。最初にしたことは、そういう賞があるのかをネットで調べた。奄美市のフリーランス支援活動に関わった個人がエントリーしてくれたようです。栄えある賞。鹿児島から400㌔㍍、沖縄からも400㌔㍍離れている奄美は、台風が来ると物流が止まる島だが、外海離島を不利や不便と捉えるのではなく、島の特性と捉え、特性のある島で働いていく人を一生懸命支援していこうと15年から、『フリーランスが最も働きやすい島化計画』がスタート。5年ごとに組み立てている」と説明。これまでに約200人に「『職業とは、この島で働いて行くには、収入を得るには』などのテーマで支援セミナーを実施してきた。今では38人が移住、フリーランスで働くことの、喜び、悩み、課題を定期的に集まって共有していく場所作りにも取り組んでいる。去年で第1ステージが終わり、今年から第2ステージに移っていくこの年に賞をいただけるのは、本当に栄えあることで感謝と感激でいっぱい。『世界自然の島で働く』を、一つの選択肢に入れてほしい」と述べた。

 個人賞は該当なしで、特別賞のタイミー賞に日本俳優連合「芸能実演家が安心安全に働ける環境作りの取り組み」が選ばれた。