成瀬茉倫さん慶應義塾塾長奨励賞を受賞

塾長奨励賞に感激の表情の成瀬さん(提供写真)


サンシンを手に、奄美に思いをはせるような成瀬さん(円内は表彰式の様子=提供写真)

「島唄」歌い手として文化発信

 【東京】奄美出身で唄者として活動する慶應義塾大学の学生、成瀬茉倫=まりん=さん(総合政策学部4年)がこのほど同大学の「塾長奨励賞」に選ばれた。成瀬さんは受賞の喜びに浸りながらも、新たな思いを披露していた。
 
 「塾長賞・塾長奨励賞」は、学術・芸術・社会活動・文化活動など正課以外の幅広い分野において、学生の範となる活躍をした塾生を表彰するもの。1990年から始まった。同大学によると、2022年度は、塾長賞は該当者なし、塾長奨励賞に4件6人が選ばれた(応募総数は非公表)。

 「鹿児島県奄美大島の伝統音楽『島唄』の歌い手として奄美の文化発信活動を行い
New York Fellowshipに採択され高く評価された。その顕著な実績は慶應義塾の誇りとするところである」としている。また、受賞者の出身地については個人情報となるため回答はないが「奄美の文化発信活動を理由とした受賞は初めて」という。

 成瀬さんは「慶應には約3万人の学生がいるため、まさか『塾長奨励賞』を受賞できるとは思っていませんでした。演奏にとどまらず、学術的な観点から島唄や奄美を見詰めることができた点を評価していただけたのではないか」を率直な感想として挙げた。

 授賞式は、22年度大学学部卒業式の中で行われたことから「卒業を見送りながら受賞させていただけたのは、貴重な経験となりました。『奄美』という言葉がアリーナに響き渡り『奄美』の存在が認められたような感覚になりました」と感激を振り返った。成瀬さんは今後、米ニューヨークでの民族音楽や奄美コミュニティ―調査などのため、進級後、1年間の休学に入った。
「新たな土地でできるだけ多くのことを吸収し、島に還元できたらと思います。学友2人と『Meet My Amami』を立ち上げ、現在島の高校生ら若者世代を盛り上げるために活動中です」。プロフィールに「塾長奨励賞」という栄誉を追加した成瀬さんは、新たな挑戦に目を輝かせていた。