米軍政下の調査史料研究支援

日本復帰70周年事業で米軍政下の奄美群島調査史料研究を支援することを決めた奄美群島広域事務組合の臨時議会

日本復帰70周年記念事業でカラー写真や映像など展示計画
広域事務組合臨時議会

 奄美群島広域事務組合(管理者・安田壮平奄美市長)の臨時議会が23日、奄美市名瀬の市民交流センターであり、2023年度一般会計補正予算や奄美TIDAネシア基金特別会計補正予算など3議案を承認した。同組合では、奄美群島が日本復帰する前の米軍統治下で行われた群島の調査記録を鹿児島大学などが調査する事業を支援、その成果を日本復帰70周年記念事業として群島各地で、写真展や講演会などを開催することを決めた。

 同組合によると、日本から行政分離され米軍統治下にあった1951(昭和26)年、米国の大学教授によって奄美大島で6カ月間の調査が行われた。調査結果はGHQをはじめ、国連や米国陸軍省、国務省などに報告され、奄美群島を日本に返還すべきと提言していたという。

 この調査では、島民への聞き取りだけでなく、奄美の自然や文化、生活、産業に関する写真や映像が記録として残され、米国の大学で保管されている。写真は、当時珍しいカラーで記録されており、当時の奄美を知る上で、貴重な史料とされる。

 こうした記録について今回、鹿児島大学とオックスフォード大学の研究者が共同で研究を行っており、写真や映像史料に基づく住民へのインタビューなどを実施。当時の奄美群島の生活環境などを明らかにする機会となることが期待されている。

 広域事務組合では、奄美TIDAネシア基金から調査研究費として200万円を支援、研究成果を発表する写真展や講演会の今年度中の開催も計画している。

 このほか、一般会計では、同組合の事務所移転に掛かる経費約500万円などを補正計上した。同組合の事務所については、23日の市町村長会で、使用中の奄美会館(奄美市名瀬永田町)が耐震不足のため、所有する県大島支庁から年内の退去を求められていることが報告されていた。

 移転先としては、奄美市と本場奄美大島紬協同組合が共同所有する紬会館(同市名瀬港町)が候補地となっており、同組合事務局は「現在、奄美大島商工会議所が使用している7階部分に、(同商議所の)移転後に入居できればと考えている」とし、所有する奄美市と紬組合側と協議を進めていることを報告した。