美術館活用、津和野に学べ

島根県津和野町の事例など、120人が耳を傾けた「美術館を活かしたまちづくり」フォーラム(左から下森町長、大矢さん、進行役の久留ひろみさん)

芸術文化でまちづくり探る
奄美市でフォーラム

 奄美群島日本復帰70周年記念フォーラム「美術館を活かしたまちづくり」(奄美市教育委員会、フォーラム奄美23実行委員会共催)が27日、奄美市名瀬の市民交流センターであった。田中一村研究の第一人者で島根県津和野町立安野光雅美術館館長の大矢鞆音さん、下森博之津和野町長が登壇し、講話やパネルディスカッションを通して文化や芸術を生かしたまちづくりを提言。約120人が津和野町の事例に学び、方策や解決の糸口を探った。

 津和野町は島根県の山間部にある人口約6600人の町。美術館や歴史・文化を生かした「山陰の小京都」と呼ばれる城下町風情の街並みで知られる観光地で、年間100万人が訪れている。

 大矢さんは、同町が誇る日本画家で絵本作家の安野光雅氏と共に立ち上げた同美術館を紹介。校舎風の教室や中庭、プラネタリウムを併設した経緯を述べ、「(安野氏は)感性を育んだ子ども時代を忘れず、町民と芸術が共生する思いを込めた」と説明した。

 「歴史文化の町」と題し講話した下森町長は、同町出身の作家・森鴎外旧宅や西洋哲学者・西周の旧居といった豊富な文化財の活用状況を報告。ゼロ歳からの人づくりなどを掲げる同町の教育ビジョンを示し、「教育のまちとして魅力化することで全国から(高校生徒ら)人も集まっている。継承も踏まえながら、住民に関わりのある使い方をしていくべきだ」と訴えた。

 パネルディスカッションでは、県奄美パーク・田中一村記念美術館の生かし方などについて議論。「学芸員が3・4年で変わると徹底した研究は難しい。まず縦割りを変えるべきだ」とする指摘もあった。