名瀬小学校の石段で総決起集会などについて説明する楠田哲久さん
龍郷町教育委員会は27日、2023年度「子ども博物学士講座」を開講した。第1回は、奄美群島日本復帰70周年にちなみ「今こそ、奄美群島日本復帰のルーツを探ろう!」と題した史跡ツアー。奄美市名瀬のおがみ山で復帰の父・泉芳朗の像や詩碑を巡り、復帰の歴史を学んだ。児童・生徒42人、未就学児4人、保護者31人が参加した。
りゅうがく館で行われた開講式では、碇山和宏教育長が「先人が日本復帰の願いを込め、断食や署名運動をしたことを学んでほしい」とあいさつ。久保岳大学芸員が1953年のダレス声明までの流れを説明、バスでおがみ山へ移動した。
講師を務めたのは「泉芳朗先生を偲(しの)ぶ会」会長の楠田哲久さん(75)。楠田さんは昨年末、泉の日記や未発表作品を書籍化している。
子どもたちを前に「奄美は日本の領土ではなかった時期がある」と切り出し、銅像や詩碑の前まで「日本復帰の歌」を歌いながら一緒に歩き解説した。
銅像に合わせて作ったメガネをつけるユーモアを見せ献花。復帰協議会を作り署名活動をした歴史などを話した。複雑な歴史に難しそうな表情を見せた子どもたちも、米軍が発行した「B円」や「パスポート」の写真には興味津々の様子で見入っていた。
最後に、復帰に取り組む演説などが行われ、象徴的な存在となっている名瀬小学校校庭の石段で「51年から総決起集会は27回続いた」などと説明されると、子どもたちは「すご~い」などと声を上げていた。
参加した大勝小学校2年・二瓶和(やわら)さん(8)は「外国から日本に帰ってきた歴史は大体分かった。パスポートを見て驚いた」、同・福本花楓(かえで)さん(7)は「歴史は難しくてよく分からなかった。お金の話が面白かった」と話した。
同講座は、6月17日「森の守り神ハブ」▽9月9日「スターウォッチング」▽10月28日「海に潜む生き物たち」▽12月16日「渡り鳥」▽2月3日「浦~赤尾木散策」及び閉講式―を予定している。