世界自然遺産推進協を設立

クロウサギ保護対策などに取り組む「徳之島世界自然遺産推進協議会」設立総会=29日、伊仙町中央公民館

〝オール徳之島〟で対策、基金運用へ
クロウサギ防護柵設置も

 【徳之島】世界自然遺産の適正管理を〝オール徳之島〟で取り組む「徳之島世界自然遺産推進協議会」の設立総会が29日、伊仙町中央公民館で開かれた。規約や役員選任、「ユイの島徳之島世界自然遺産基金」管理運用規定など全議案を承認。初年度活動計画にアマミノクロウサギの交通事故防護柵の設置、エコツアーガイド人材育成研修(初期)などを掲げた。

 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録(2021年7月)からやがて2年。徳之島3町及び関係機関が連携・協働し、世界自然遺産の適正な管理及び自然資源の保全と利活用を推進、持続的な地域の振興を図ることなどが設立の趣旨。既設の徳之島地区自然保護協議会、同島エコツアーガイド連絡協議会など代表らも交え、伊仙町長を設立発起人代表として準備を進めた。

 設立総会には3町長(代理含む)や教育長、観光連盟、商工会、集落区長会代表ら構成員(17人)と、オブザーバーの環境省や県環境林務部自然保護課の担当者らが出席。議事では、世界自然遺産に関する情報収集・共有・提供や保全、人材育成、民間企業などとの連携、普及啓発事業、会長や事務局の3町持ち回りとすることなどを盛り込んだ規約案を承認。役員は初代会長に大久保明伊仙町長、副会長に徳之島・天城両町長らを選任した。

 民間団体(公益財団法人)が予定する高額寄付金運用への「ユイの島徳之島世界自然遺産基金」管理運用規定も制定。今年度活動計画には、クロウサギの交通事故多発地点への防護柵設置、奄美群島広域事務組合が実施してきたエコツアーガイド初期段階研修の各島移行に伴う実施(年5回程度、修了証交付)、公式ウェブサイトの制作なども掲げた。

 意見交換では、質の高いエコツアーガイドの育成と併せた「われんきゃ(子どもたち)ガイド」活動の奨励や、侵入が確認された特定外来生物のシロアゴガエル、「条件付き特定外来生物」(6月1日)となるアメリカザリガニ対策への協力(環境省)、これらの侵入を確認・警鐘を鳴らした自然保護団体など民間との情報共有・連携強化を求める要望もあった。

 環境省徳之島管理官事務所の田口知宏国立公園管理官が「徳之島の世界自然遺産について」と題して講話した。