スモモ島外出荷できず

大和村の湯湾釜選果場に持ち込まれているスモモ。上り便欠航でJA取扱品は低温施設での保管対応が取られる

台風で定期船上り便欠航
JA受け入れは継続 低温貯蔵施設で保管

 大型で非常に強い台風2号は徐々に北寄りの進路を取り、沖縄や奄美地方に接近している。この影響で海の便では鹿児島―奄美―沖縄を結ぶ定期航路のうち沖縄発の上り便が29日から欠航。収穫期を迎えている特産果樹スモモ(「奄美プラム」)が島外に出荷できない事態となっている。JAあまみ大島事業本部は名瀬港などにある低温貯蔵施設を活用し保管、上り便再開まで備えるが、欠航が長期化すると値段が下がる可能性がある。

 最大産地の大和村では25日から、選果選別機がある湯湾釜選果場での受け入れを開始。村産業振興課によると日量約700㌔の集荷があり、28日の上り便で約2㌧を島外に出荷、29日は約1㌧を予定していた。

 上り便の欠航に伴いJAでは島外出荷(関西・九州地方などの市場向け、宅配注文分)は取りやめ、加工用の島内出荷のみの対応となる。ただし生産農家からの選果場への持ち込みは受け入れており、JAの支所別では大和だけでなく名瀬、龍郷を含めて名瀬港内にあるフリーザーコンテナ(約5㌧収納)や選果場にある冷蔵施設に保管する。青果用の鮮度に影響がないよう備えるが、上り便の欠航が長期化すると保管する量が増え、まとまった量が市場に出荷されることから値段が下がる懸念がある。

 JAの担当者は「値段に影響が出るかもしれないが、保管によって生産者が収穫したスモモを引き続き受け入れていきたい。上り便再開後の島外出荷にあたっては、低温で保管したものを常温に戻すことはできないことから、野菜の出荷同様、陸送のトラックも低温対応で各市場に届けていく。JAのコールドチェーン(低温流通体系)機能を発揮し、鮮度を維持していきたい」と語った。

 台風の強風被害などを避けるため生産農家は収穫を早めることも想定される。JAなど関係機関の果樹担当者は「台風の影響をぎりぎりまで見て収穫期を判断してほしい。追熟を見込んでの七分着色を基本にした方が果実の安定した品質を保てるだけに、適期収穫の実践を」と呼び掛けている。