軍事遺跡を三次元測定

筑波大、橿原考古研など 西古見砲台跡と手安弾薬本庫跡 瀬戸内町

 筑波大学と奈良県立橿原=かしはら=考古学研究所は、軍事遺跡の三次元測定を29、30日、瀬戸内町の西古見砲台跡と手安弾薬本庫跡で行った。史跡の保存と価値の再発見につながる基礎資料とすることが目的。また、仮想空間上で遺跡の紹介が可能となることにより、観光面や学校教育での幅広い活用が可能になる。

 現地では4台の3Dスキャナーを使用し、遺跡や道を三次元レーザーで測定、遺跡の現状の正確なデータ収集を行った。

 同大学芸術系教授で保存科学・松井敏也博士と同研究所企画学芸部資料課保存科学研究室・河﨑衣美博士のほか、道のデータ収集を㈱マルヨシ(愛知県)の水野雅之代表取締役社長、データ活用のソフトウェアを㈱エリジオン(静岡県)の中川大輔ゼネラルマネージャーやデータ送信の通信会社や、建設研究の建設会社などの専門家で測定が行われた。

 松井博士は「今まで見られなかった角度から見られるデータになる。町や大学でどう活用していくかも協力して検討していく」とし、「地域の人たちが史跡について再発見するとともに、価値を認めることにより保存につながってほしい」と話した。

 測定に立ち会った、同町教委社会教育課の鼎=かなえ=丈太郎主査は「現地でなくても史跡を見られる貴重なデータになる。データを共有し、教育や観光、建築など多くの分野で生かしていきたい」と語った。