徳之島 畑かん営農推進研修

「自走式畑かん散水機」の実演も見学した参加者たち(畑かん営農推進研修会)5月26日、伊仙町

 

 

徳之島の農耕地は「水がキーワード」

 

 【徳之島】徳之島地域総合営農推進本部・土地利用畑かん部会主催の2023年度畑かん営農推進研修会がこのほど、県農業開発総合センター徳之島支場(伊仙町)であった。県や同島3町の農政、土地改良連合会、土地改良区の若手職員を中心に約40人が参加。土壌特性や水利用による各種農作物の増収効果など最新の情報を学習。畑かん営農推進〝旗振り役〟の使命感も新たにした。

 同地域畑地かんがい営農ビジョン(14年3月策定)にも基づく畑かん営農の確立。不可欠な国営かんがい排水事業徳之島用水地区(徳之島用水農業水利事業)における「徳之島ダム」(有効貯水量730万㌧、3町受益地区面積3451㌶)関連の県営畑かん事業(97年~28年度)の推進。スプリンクラーなど畑かん施設施工推進などが目的。

 座学の講師は、県徳之島事務所農業普及課の技術者や農業開発総合センター支場研究員などが担当。参加者たちは同島の畑かん営農の現状や農耕地土壌の特性、サトウキビやバレイショ、サトイモなどの水利用効果などを確認した。

 うち同島の土壌(黄色土、暗赤色土)特性については、県本土の「黒ボク」(鹿屋市)や「シラス」(鹿児島市)などに比べて作物が利用できる土壌水分が極めて少ないこと。①かん水(水分の補給・塩害低減)②保水(水分供給能力を高める)③透水(湿害防止・根の活性化)の合致で実現する収量増・安定生産を目指すほか、「徳之島の農耕地土壌は『水』がキーワード」と改めて認識した。

 「自走式畑かん散水機」(3町に1基ずつ試運転機貸し出し)など含む散水設備機器の実演もあった。

 4月異動で係に加わったばかりの徳之島町耕地課の白山拓矢主事補(33)は「農家の方々への推進方法、作物への散水効果も分かった。担当地区は同意取得率が低調。かん水効果もPRして畑かん営農を推進するのは町役場の義務だと思っています」と話していた。