県立病院22年度決算見込

 
 
大島7億6千万円の黒字
病床利用率下降、コロナ後の患者回復課題

 

 

 県立病院局は31日、2022年度病院事業特別会計決算(見込み)を公表した。県立5病院全体の経常収支及び資金収支はいずれも黒字(経常14年連続、資金17年連続)となり、大島病院も前年度に続き経常収支は黒字で、7億6000万円(前年度5億7400万円)を確保した。同病院の病床利用率は前年度を6・9ポイント下回る76・6%に下降、外来患者数は増えたが、入院が減少した。

 5病院全体の経常収支は約20億100万円(前年度比3億2800万円増)の黒字、資金収支は約21億3400万円(同3億4700万円増)の黒字。なお、資金収支は基金から約14億円を取り崩しており、これを考慮すると実質約7億2700万円の黒字になる。

 収益・費用の増減をみると、総収益は220億9500万円(前年度比10億4000万円増)。診療収益は、入院、外来ともに診療単価の増により増加(同4億1200万円増)したものの、患者数は新型コロナウイルス感染症流行前の19年度水準までは回復していない。総収益は、新型コロナ対応への補助等(同4億6900万円増)もあり、増加している。

 総費用は200億9200万円(前年度比7億700万円増)。給与費が給与改定などにより1億7200万円増加、また物価高騰の影響などにより材料費が2億8500万円、光熱水費・燃料費が1億3700万円増加したことなどから、総費用は増加している。

 決算見込みを受けての今後の課題として同局は、▽診療報酬の改定や深刻な医師・看護師不足▽診療圏人口の著しい減少▽新型コロナ収束後の患者数回復―など列挙。対策では「『第三次中期事業計画』に基づいて、県立病院としての役割を担いながら、引き続き医療機能の充実・強化や経営の更なる安定化を図る」としている。

 大島病院の収支をみると、総収益89億8100万円(前年度比4億6900万円増)、総費用82億21000万円(同2億8300万円増)。前年度に続き収益が費用を上回り黒字決算となった。収益でコロナ対応分は8億1700万円を計上、前年度より3億6800万円増えた。総費用では、前年度に比べ職員給与(1億3500万円)、経費(9200万円)、材料費(5200万円)の増加が目立つ。資金収支は前年度を1億700万円上回る8億6300万円の黒字となった。

 同病院の病床数は前年度と同じ269床。1日当たり患者数は入院206人(前年度比18人減)、外来453人(同7人増)となり、入院患者の減が病床利用率の低下につながった。診療単価は入院5万9501円(同3464円増)、外来1万6143円(同1191円増)といずれも増加した。

 病院別で経常収支が赤字見込は北薩(1億1100万円)のみ。