大島地区5月子牛競り

 

前回2万円下回る52万円
相場回復期待も軟調に推移

JA県経済連肉用牛課奄美市駐在がまとめ、公表した2023年5月の大島地区子牛競り市結果によると、子牛市況の総平均は52万928円で、前回(3月)比2万2027円下落した。新型コロナウイルス感染症対策も緩和され、大型連休明けの牛枝肉相場の回復が期待されたが、軟調に推移したままとなっている。

5月競りは6日(与論市場)にスタートし、11日(喜界市場)に終了。全体の入場頭数は2029頭(雌850頭、去勢1179頭)で、すべて売却。平均価格は雌45万9416円(前回比1万9012円安)、去勢56万5274円(同2万6391円安)といずれも下落した。

合計平均価格にかかわる市場ごとの順位をみると、与論の53万4213円を筆頭に、沖永良部、奄美大島、徳之島、喜界の順。購買者から見た子牛評価の指標である平均単価で市場を格付けすると、与論の1999円(キロ当たり)を筆頭に、沖永良部1962円、徳之島1867円、喜界1816円、奄美大島1811円の順。競り日齢にかかわる市場ごとの若齢順位は、沖永良部258日、喜界262日、与論267日、奄美大島268日、徳之島270日の順となっている。

3月競りから連続している相場の下落要因について同駐在は、相場の軟調のほか、「資材高騰等により飼育コストが高騰しており、更には現在出荷している肥育素牛=もとうし=が高値であることから利益確保が難しくなっているため、なかなか高値で購買できない」をとしている。訪日外国人観光客によるインバウンド需要や外食産業などの回復による牛枝肉相場の伸びが期待されたが、予想したほどの回復はなく中旬以降も軟調に推移しているという。

今後については「牛枝肉相場等の影響を受けて、軟調傾向が予想され、商品性によっては価格差が拡大する」と懸念。体の伸び・深みのあるもの、前躯=ぜんく=のしっかりしたもので血統の良いもの、産歴の若いものは「高値基調である状況は大きく変わらない」として、同駐在は「あと少し手を加えるだけで、子牛は変わってくる。生産農家も子牛相場や資材高騰等の影響により利益確保が難しい状況ではあるが、手を加えただけ子牛は返してくれるので、日頃の管理をしっかり行い、商品性の高い子牛づくりに励んでもらいたい」と呼び掛けている。