天城町役場で写真展

庭石の上でくつろぐ2匹のクロウサギを捉えた、自慢のカットを紹介する野瀬貴子さん=5日、天城町役場

 

 

森田町長と写真展「ウェルカムボード」披露も

 

 

「わが家の客はクロウサギ」
当部集落は〝自然博物館〟
「環境の日」にちなみ

 

 【徳之島】「環境月間」の「環境の日(6月5日)」にちなんだ天城町主催の写真展「わが家の客はクロウサギ」(森と海の藝術楽校=げいじゅつがっこう=共催)が5日、町役場1階の町民ホールで始まった。特別天然記念物アマミノクロウサギが民家の庭先にも出没する「クロウサギの里」である同町当部=とうべ=集落。希少野生動物など自然環境の保全・共生も願い、庭先で自動撮影した貴重な画像11点を展示中だ。19日まで。

 同町当部は、世界自然遺産の島・徳之島のほぼ中央部、奄美群島国立公園第2種特別地域に隣接した大自然に抱かれたエリア。車両で容易にアクセスできる南部ダム沿いには町設置の「アマミノクロウサギ観察小屋」がある。静かなブームを呼びつつある集落内ナイトエコツアーでも、気軽にクロウサギの観察チャンスがある文字通りの「クロウサギの里」だ。

 庭先で自動撮影した画像データを提供、写真展を共催しているのは同町の元地域おこし協力隊(2016年6月~20年同)で、現在同地で「森と海の藝術楽校」を主宰、「茶処=どころ=・あがりまた」も運営する野瀬貴子さん(46)=東京都出身=。作品の中には〝つがい〟状の2匹が、庭石や塀の上でリラックスしているような光景も。民家の庭先の人工物と「生きた化石」と称される希少野生動物との対比が面白い。

 写真展開始のセレモニーで森田弘光町長は「クロウサギが庭先で観察・撮影ができるのは、世界中でもたぶん当部集落だけ。世界環境の日に合わせた写真展は誇らしい。動物愛護も改めて考え直すきっかけになる」とアピールした。

 野瀬さんはあいさつで「(6年前から)天城町に移り住み、東京とは〝格〟の違ういろんな希少動物の鳴き声が聞こえる生活の中で、目の前を走り抜ける動物の姿が。自動カメラでクロウサギが遊びに来てくれていたことを知った。希少動物がこんな身近にいる当部集落は〝自然の博物館〟だと思った」と話した。一方では、クロウサギによる農作物食害の現実的ジレンマにも触れ、「クロウサギが大先輩だが、人間も生きなければならない。共生の課題に取り組む必要もある」とも強調した。

 会場には町企画財政課と森と海の藝術楽校が昨年調査した同集落「クロウサギ分布マップ」も展示中だ。