奄美大島に血液備蓄所を

厚労省を訪れ、伊佐副大臣(前列右から4人目)に奄美大島への血液備蓄所設置を要望した関係者

 

医師・市議ら厚労省などに要望活動

 

 【東京】奄美大島へ血液備蓄所設置に向け、県立大島病院の医師や県議、奄美市議らが5日、千代田区霞が関で要望活動を行った。一行は、厚生労働省の伊佐進一副大臣へ要望書を提出して理解を求めたほか、衆院議員らも訪ね、設置への説明を重ねた。

 2018年4月に奄美大島から日本赤十字社の血液備蓄所が撤退。県本土に発注しても到着まで平均11時間も要するという。そうした医療現場の危機を回避しようと、県立大島病院麻酔科部長の大木浩医師、松田浩孝県議、奄美市議の与勝広氏らが要望活動に参加した。

 大木医師が3月に開催した「奄美大島の医療と輸血」の講演会で心を動かされた与市議が、厚労省側に働き掛けて実現した。血液備蓄所の撤退以来、設置に向けての要望書は医療法人単位で県などに提出していたが、厚労省への要望活動は初めて。

 「血液製剤の備蓄機能が失われてしまえば人命への甚大な影響が懸念される」などとした大島郡町村会(会長・高岡秀規徳之島町長)の要望書を手渡した。伊佐副大臣からは「話は分かった。いろいろと相談しながら、進めていきたい」との前向きな返答があったという。

 要望を終えた大木医師は「副大臣に会えたのは大きい。これをきっかけに奄美だけではなく、離島の血液備蓄医療の拡充につながっていけば」と期待を口にした。

 現在、県立大島病院を中心に血液供給体制を強化、日本航空(JAL)による緊急搬送時の手順の見直しもあるが、効果は「焼け石に水」とされている。また、奄美大島地区には医療、消防・警察、県・地元市町村で構成される緊急時供血者登録制度があり、「十分役に立っている」(大木医師)というものの、「『血液備蓄所の整備』の二本立てとなってこそ、命をつなぐ医療体制となる」と大木医師は力説した。

 ほかに、金城泰邦衆院議員、吉田久美子衆院議員を訪問し状況を説明したのは、窪田哲也参議院議員、奄美市議の大迫勝史、同・栄ヤスエ、同・橋口耕太郎、公明党奄美大島女性委員・大庭梨香の各氏。