危険物施設で初の訓練

可燃性が高い重油の漏えいを想定し、化学消防車も出動して行われた危険物施設火災防御訓練

火災防御へ関係事業所と連携確認
消防組合

 大島地区消防組合は6日、奄美市名瀬小浜町にある九州電力名瀬発電所で火災防御訓練を実施した。発電所内には重油用の屋外タンク貯蔵所があるが、こうした危険物施設を対象にした訓練は初めて。事業所と連携しながら火災時の被害を軽減する手順を確認した。

 危険物安全週間(毎年6月第2週)中に、危険物の保安に対する意識の高揚・啓発を推進していることから、危険物施設での事故防止及び消防設備の取り扱い確認、事業所の危険物取扱者・消防機関との連携や安全管理体制確認が目的。訓練には同組合名瀬消防署、九電などから約30人が参加した。

 名瀬発電所は職員は常駐しているものの、通常は稼働しておらず、夏場の電力需要期に竜郷発電所の電力供給量が不足した場合などに補完的な役割を持つ。周辺には事業所や民家などもある。訓練は同日午前10時頃、名瀬発電所内で屋外タンク貯蔵所への補給中、地震により配管の一部が損傷し重油が漏えいして重油が防油堤にたまり、地震の影響で重油に引火したとの想定で行われた。

 同発電所職員が初期消火を行い、119番通報。初期消火困難な状態になったため、重油は可燃性が高いことから、危険物火災に対応する化学消防車が出動し、消火活動を行った。

 訓練終了後、泊智仁警防課長は「危険物施設からの出火は管内では発生がないが、訓練を重ねることでそれぞれの役割分担が認識できる。初めての訓練で手順を確認でき、有意義だった。災害時の被害の軽減につながる」と講評した。

 危険物施設の火災は人命や財産に多大な被害を与えることから、同組合では今回の訓練を契機に今後も継続していく方針。