関東安陵会総会・3年ぶり懇親会も

30回卒から33回卒までが共に合唱し還暦を祝い合った
 
恒例の安陵数え歌で熱気あふれた懇親会の会場

復帰70周年に関連 米軍統治下体験談も
「大切な再会の場所」再確認 

 【東京】関東安陵会(田代清和会長、平岡順子幹事長)の2023年度・第76回総会が3日、東京都上野精養軒で開催され、約180人の大島高校OB・OGらが集い、3年ぶりとなる懇親会でもにぎわった。奄美からの代表として貴島邦伸大島高校校長が祝辞を述べた。同校吹奏楽部OB・OGらをメインに結成されたOSB吹奏楽団(武田まゆみ代表)による演奏で、コロナ禍で余興ができなかった還暦組が「上を向いて歩こう」を合唱するなど笑顔が広がった。 

 総会は副会長の惠原睦男さんの開会宣言に続き、田代会長が「母校創立120周年記念や2度目の甲子園出場、ふるさと奄美の世界自然遺産登録など多くの慶事があった。郷土に誇りを感じ、喜びを共有できたことをうれしく思う。この会は年に一度の再会の場所、皆が一堂に集うことがいかに大切であるかを感じた。懇親会は3年ぶり、大いに盛り上がりましょう」とあいさつした。

 会員講演では、平榮光さん(3回卒)が「大空に飛び立った籠=かご=の鳥」と題し、奄美群島の日本復帰70周年に関連して米軍の統治下で体験したことを話した。

 その中で「当時の名瀬市に米軍の軍政府ができ、60人の進駐軍が両脇に拳銃を着け、ジープで街中を見回り、集会場に顔を出しては、反米運動ではないかと見張られていた。責任者が連行され厳しい取り調べに遭うこともあった」「総決起大会は、反米運動だと即座に解散を命じられたが、奄美群島政府知事の中江実孝さんが『反米運動ではない。日本人としての権利を取り戻して本土に渡航がしたい純粋な気持ちからの集会』と説得して、大会が開催された」と述べた。

 また、「大島高校4回卒で当時生徒会長だった築愛三さんがいた。卒業後は大学に進学したいという強い思いで復帰運動の先頭に立ち、群島九つの高校に呼び掛けて学生使節団をつくって、パスポートを作り鹿児島に渡って訴えた」「島民と出身者が結束して奄美群島が日本に復帰し、8年間の米軍統治から解放され、新しい扉が開かれた。おがみ山にあったオリエンタル放送の大きなスピーカーから『朝はあけたり』の歌が市内に流れた。当時の思い出を忘れることはできない」とも語った。

 平さんは「当時がどういう時代だったのか改めて考えたい」と熱い思いを語り、出席者らも熱心に聞き入っていた。

 母校から駆け付けた貴島校長は「旧制中学から続く伝統、群島から集まった生徒たちが切磋琢磨=せっさたくま=している。1人ではなく、みんなで協力して取り組むことができる生徒たちは世界を動かす原動力になり得る。他者と協力しながら取り組める人材の宝庫だ」と学生たちの奮闘ぶりを紹介した。

 懇親会は徳岡辰寛相談役の乾杯でスタート、藤田晶さん、森永あすかさん(67回卒)の祝い節で幕を開けた。余興では、還暦の余興ができなかった30~33回卒の卒業生らが共に合唱、会場から拍手が沸き、還暦を祝い合った。クロアチア遠征帰りの伊是名の会(原口このみ代表、28回卒)も踊りを披露し、花を添えた。

 締めは恒例の校歌と安陵数え歌を合唱。圓野憲武さん(11回卒)、喜入寛次さん(25回卒)のリードで全員が輪を作って肩を組み、歌い合った。中川裕雄顧問による万歳三唱で締めくくった。

 OSB吹奏楽団代表の武田さん(32回卒)は、「4年ぶりの音合わせになったが、何とかいけるのでは、と過去にやった曲で元気になる曲をセレクトした。団員には親子での参加もあり、奄美を知らない世代が楽しんでくれた。年に一度の会をこれからも大事にしたい」と話した。

 新役員は次の通り。(敬称略)
 田代会長=再任(26回卒)▽副会長 田宮新司=再任(27回卒)▽幹事長 龍一文=再任・(28回卒)▽幹事長代理 本山秀男=再任(45回卒)▽会計長 田井一郎(30回卒)▽監事 福永正信(26回卒)