奄美市パッションフルーツ品評会

18点の出品があった奄美市パッションフルーツ品評会の外観審査

金、銀、銅賞に輝いた(右から)宇﨑さん、森永さん、富田さん

金賞に宇﨑さん(笠利地区)
講習会で土づくりなど学ぶ

 2023年度奄美市施設(ハウス)パッションフルーツ品評会・講習会及び表彰式が8日、奄美市名瀬の県農業開発総合センター大島支場であった。市内の生産者などから18点(名瀬地区11、笠利地区7)の出品があり、最高の金賞を宇﨑理生さん(55)=笠利=が受賞した。βカロテンやビタミンなどが豊富なパッションフルーツは奄美や沖縄の南西諸島だけでなく県本土などでも栽培が盛んだが、土壌的には本土の方が適し奄美の粘土質は合わないとして、講習会では最初の土づくりの大事さが指摘された。

 主催した市農林水産課によると、出品されたのはルビースター品種のSとMサイズ(80㌘~100㌘未満)。品評会は大島支場の松比良邦彦支場長を審査員長に、県とJAの担当者が外観と内部品質(糖・酸)を審査。外観審査では手に取りながら、色合いや玉ぞろい、傷の有無などを確認していた。

 審査結果が発表され、金賞以外は銀賞を森永幸二郎さん(41)=名瀬地区=、銅賞を富田聖一さん(58)=同=が受賞。同課の俵裕樹課長が3人の受賞者を表彰した。

 審査講評で松比良支場長は今期の生育について例年より開花が遅れたものの、2月以降高温だったこともあり順調だったとして、出品された作物の内部品質は平均で糖17・4度、酸1・6%と報告。「糖と酸のバランスが良く、非常に食べやすい。外観はひびの傷、色のりなどを審査したが、全体的にレベルが高かった。生産者の努力が実を結んでおり、産地全体でさらに栽培技術を向上させ、安心安全なパッションフルーツを消費者に届けてほしい」と呼び掛けた。

 糖が18度、酸が1・3%と「糖の高さと酸の低さ」が評価された宇﨑さん。奄美市笠利町の万屋集落に単棟のハウス(20㍍)があり、栽培2年目で初受賞となる金賞を射止めた。早めの定植やかん水では水量を抑える取り組みで工夫した。宇﨑さんは「まだ栽培経験が浅い中、(受賞は)市や県の担当者などのサポートのおかげであり感謝したい。これからも勉強を続け、いい品質のものを作り、将来的には規模拡大したい」と語った。

 講習会は大島支場亜熱帯果樹研究室の坂上陽美研究専門員が講師を務めた。栽培のポイントとして、▽定植までに土壌物理性、排水性を可能な限り改善(堆肥=たいひ=など有機物資材の導入や高畝=うね=にする)▽台風を考慮し、10月中などできるだけ早く定植▽かん水チューブ活用による適度なかん水▽遮光資材活用などでハウス内の温度を下げる工夫―などを挙げた。