「ハカマロール」し好性問題なし

畜産関係協議会総会では「ハカマロールの生産・給与調査」の結果が報告された

水分量、発酵など生産方法で差
キビの畝の高さで収穫ロス
生産・給与調査報告

 県肉用牛振興協議会大島支部(支部長・川越尚樹県大島支庁農政普及課長)、奄美群島農政推進協議会畜産部会(部会長・森浩成JAあまみ与論事業本部畜産課長)の2023年度総会が9日、大島支庁会議室であった。生産資材の高騰が畜産経営を圧迫しているなか、地元の資源を活用した自給粗飼料として期待されている「ハカマロール」(サトウキビの収穫残さ〈枯れ葉など〉を農業機械で圧縮しロール状にしたもの)の生産・給与調査結果が発表され、餌としての牛のし好性は既存の飼料作物と比較したところ問題ないとの報告があった。

 ハカマロールの生産・給与調査報告は同課糖業畜産係が実施。3~5月にかけては給与する草が足りないため、肉用牛農家は輸入牧草をJAから購入している。この購入牧草と比較した場合、自給粗飼料であるハカマロールは「55%の価値がある」と説明。1個(300㌔㌘)の価格から計算すると約1万8千円を補うことになる。

 給与調査はハカマロールと、ローズグラス(飼料作物)のロール(乾草)と比較。その結果、し好性は良い物も悪い物もあったが、「食べ残しは少なくし好性に問題はない」と報告。良い物としては▽晴れた日にすぐ刈り取りロール状にするなど適正な水分量を保つ▽キビの梢頭部=しょうとうぶ=を入れる▽2か月間しっかりと発酵させる―などを挙げ、降雨時にロール状にすると微生物が発生し、牛が餌として好まないなど「ハカマロールの生産方法で、し好性の差が顕著」との指摘があった。

 生産調査で明らかになった問題点は奄美大島、沖永良部島では収穫ロスが大きかった点がある。「原因は畝=うね=の高さにある」として機械による改善の取り組みが報告された。

 群島内市町村やJA、県農業共済組合大島支所、全国和牛登録協会県支部大島支所、県の関係機関などが出席した総会では、いずれも22年度事業実績・収支決算、23年度事業計画・収支予算を承認。このうち肉用牛振興協の事業計画では引き続き粗飼料自給率向上、家畜排せつ物の適正な処理・利用を重点課題に掲げるとともに、新たにハカマロールの普及拡大(発酵度・成分分析、リーフレット作成、研修会開催)を追加した。