サンゴ5種が一斉産卵

無数の「新しい命」が奄美の海で広がった(写真はオトメミドリイシ)=7日午後9時48分、興克樹さん撮影=

夏の海中に「星空」広がる 瀬戸内町

 夏の海中に「星空」広がる――。奄美海洋生物研究会会長の興克樹さん(52)が7日夜、瀬戸内町の沖合でサンゴ5種の一斉産卵をカメラに収めた。無数の「新しい命」たちが、奄美の海で広がった。

 一斉産卵は、同日午後9時半頃から同町手安の沖合50㍍、水深5㍍の地点で約1時間続いた。産卵したサンゴは、コエダミドリイシ、オトメミドリイシなどミドリイシ属の5種類。「バンドル」という淡いピンク色をしたカプセルの浮遊を観察したもので、興さんによるとピーク時には、前が見えないほど漂い、「力強いサンゴの命の営みに感動した」。

 奄美大島のサンゴは、1998年の大規模な白化現象、2000~08年にオニヒトデが大発生し、多くが失われた。しかし、現在は全体的に回復傾向。大島海峡は比較的、海水温が低いことから、白化現象の影響を受けにくく、オニヒトデの食害が少なかった「樹枝状ミドリイシ」の大群落が生存している。

 興さんは「これから夏にかけてさまざまな種類のサンゴが産卵し、サンゴ群落近くの集落では、生臭さ、海面を漂う帯スリック(バンドルの殻が帯状になったもの)が見られるかもしれない」と話し、「身近なサンゴの命、営みを感じて欲しい」と呼び掛けている。